会議録 第174回国会 総務委員会 第16号平成22年5月13日(木)

2010年05月13日 11:54

近藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎摩耶君。

山崎(摩)委員 おはようございます。民主党の山崎摩耶でございます。

 本日は、委員会を差しかえてこのような質問の機会をお与えいただき、大変感謝しております。

 きょうは放送法改正について質問させていただきたいと思いますが、本論に入ります前に、一つ皆様にお尋ねしたいと思います。

 ことしの二月二十八日、日曜日ですが、東京マラソンが、ランナー三万五千人の参加とボランティア一万人で実施されました。四年目ということで、年々このマラソンは盛大になっているんですが、さて、この二月二十八日、この日は世界的にどのような事態が発生していたか、皆様は御記憶でございましょうか。(発言する者あり)はい、二〇一〇年チリ地震ということでございます。

 二月二十七日の午前三時三十四分にチリ沖で発生した地震が、マグニチュード八・八、一九六〇年以来の大変大きな地震でございましたし、世界でも五番目の規模の地震でございました。

 日本の気象庁の津波対応は、朝の九時三十分に会見を開き、かつての宮城などでの大津波を予想して警戒態勢をしいておりました。原口大臣も、政府の対策本部で奮闘しておられましたね。

 当日、各テレビのキー局では、九時三十三分の警報発表時間に緊急警報放送に切りかえたり、津波が到着する予想時刻の昼前後には、当初の番組を中断したり休止して、特別番組として対応しておりました。しかし、主要キー局の中には、この東京マラソンの中継を優先的に放送していた局や、バンクーバーのフィギュアのエキシビションなどを放送していた局もあったというふうに聞いております。このマラソン番組を放映しておりましたキー局の北海道の系列局では、太平洋沿岸の津波被害を警戒いたしまして、十二時から十五時まで独自の判断で地震報道に変更して、地域の住民の要望に沿った対応がなされておりました。

 さて、ここで原口大臣にお伺いしたいのは、災害時等の緊急、緊迫した状況のときに、放送、報道はどうあるべきなのかという点でございます。良識ある地方局が、独自の判断で、住民に適正な情報の放送を提供することは極めて重要だというふうに思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

原口国務大臣 山崎議員にお答えいたします。

 山崎議員は、一貫して医療、介護の先頭に立ってこられて、私もちょうど当時は未来工学研究所というところにおりましたけれども、ホームケア・サポート・システム、家にいながらにして介護が受けられる、そうすると、寝たきりの人でもそれが改善していく、寝たきりの度合いが減っていく、座った人は立てるようになる。介護は極めて大事でございまして、その先頭に立ってくださっている議員にまず敬意を表し、今の御質問にお答えをいたします。

 私も、あの日、総務省消防庁の危機管理センターにずっと詰めていました。そこでありがたかったのは、ローカル局が独自にさまざまな現場を、ヘリを飛ばしたりして、その映像をしっかりと危機管理センターに送ってくださったことであります。

 もちろん、キー局も、別の枠をつくって随時適切な情報を流していましたけれども、そういう地域地域の、まさに国民の安全、命を守るという立場に立ったきめ細やかな情報発信が、多くの国民に対して、そして私は直接北海道知事にも、四道県の知事にも電話を差し上げましたけれども、その映像や情報がどれだけ役に立ったかわからないというふうに思っておりまして、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

山崎(摩)委員 大臣、ありがとうございます。

 大変御造詣の深い大臣でいらっしゃいますので、いろいろ御地元の状況も御理解いただいているかと思います。

 さて、今回の放送法改正の中には、マスメディア集中排除原則の基本の法定化が盛り込まれております。

 このマス排原則は、そもそも特定の巨大なマスメディアが他の弱いメディアを、資本の論理で放送を独占できない、勝手に支配することを禁じた原則でございます。つまり、各メディアの多元性、多様性、地域性、この三原則を担保することを目的としたものでありますし、それは、これまでのマスメディアが犯してきた誤りに対する反省から生まれてきたと言ってもよろしいかというふうに思います。その意味で、この法定化は非常に重要なことだと思っております。

 しかし一方では、出資につきまして、これまでの上限二〇%を三分の一まで容認しておる。このような緩和によってもこの三原則は担保されるというふうにお考えか、この点、大臣にお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 委員がおっしゃるように、言論の多様性、表現の多様性、そして自由を守るというのは極めて大事であります。報道の自由、表現の自由、そして、まさにメディアがみずからをだれからも支配されない、これは民主主義の基本でもございます。そこで、多元性、多様性、地域性、今委員がおっしゃった三つの原則に沿って、マスメディア集中排除原則をこの法案では法定化しています。

 その一方で、今、民放テレビの経営状況を見ますと、平成二十年度決算で、百二十七社中六十社が単年度赤字でございまして、現行の規律よりも緩和することも可能になるよう、出資による支配の基準について、十分の一以上三分の一未満という枠組みを法案で規定しておりますけれども、これはまさに、先ほど前段委員がおっしゃったように、地域の放送局というのは文化の発信の拠点であり、そして安心、安全の拠点なんですね。その拠点が、この二十年間経済成長しない、そしてリーマン・ショック以来のさまざまな経済不況の中でなくなってはならないということで、マスメディア集中排除原則の法定化をする一方で、放送メディアの経営環境の変化に柔軟に対応できるように定めたものでございまして、このことでもって集中排除原則がいささかも揺らぐことがあってはならない、このように考えております。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 しかし、仮に経営困難なローカル局の救済という名目がありましても、資本ですとか経営にかかわる人材を送り込むことで、結果として永続的な支配関係になってしまう、そうしますと、マスメディア集中排除原則の趣旨が踏みにじられるのではないかというような若干の不安もございます。それによって、ローカル局の独自性ですとか独立性が担保されないのではないかという心配を私などはしておるんですが、そのあたりはいかがでございましょうか。

原口国務大臣 今おっしゃったような懸念がないように、私たちは、一方で、地域の創富力、つまり中央の資本から遠ければ遠いほど、それから中央の資本から囲い込みができなければできていないほど経営が不安定であるということはあってはならない、北海道も。ですから、この総務委員会でも、私たちは一方で地方交付税を一・一兆円ふやさせていただきましたし、地域の創富力ということで、みずからの地域をみずからがしっかりとはぐくむことができるようにということで、その措置をしているわけです。

 また、今委員が御指摘の、マスメディア集中排除原則の人的関係に着目した基準を定めるに当たっては、地域の拠点を失うことにならないよう、厳しい経営環境にあるローカル局の経営に配慮しながら、マスメディア集中排除原則の目的である多元性、多様性、地域性の確保への影響をよく見定めて、今後もローカル局がその独自性あるいは独立性を損なうことがないように、今委員がおっしゃるようにしていくことが極めて肝要であるというふうに思いますし、私たちも、法律をつくったからそれで終わりだと思ってはいません。現実どうなっているかということも国民の皆さんからの御意見をしっかり伺いながら、この法を一日も早く制定していただいて、そして言論のとりでが守られるように、今ICTフォーラムでも議論をしていますけれども、さらに議論を深めてまいりたい、このように考えているところでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 また、この法律は附則で、マス排については法の施行後三年以内に、いわゆるクロスメディア所有規制のあり方も含め検討するとされております。

 大臣はクロスメディアの規制に強い意欲を燃やしておられるというふうに伺っておりますが、そのお考えの中には、ローカルメディアを大事にしなければならないということも同じような趣旨として含まれているものというふうに考えてよろしいのでしょうか。

原口国務大臣 全くそのとおりでございます。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 今回の放送法改正は、大変画期的な法案でありますので、一日も早くこのことを通す、これが大変重要だというふうに認識しておりまして、努力したいと思いますが、私の地元などのローカル局の中には、今申し上げましたように、この改正によりまして資本が大きい中央のキー局による支配関係がなお一層強まり、経営面でも、放送文化や理念の面からも、ローカル局の主体性が損なわれるのではないかといった危惧が寄せられていることも事実でございます。本日は、そういった地元の声を大臣にお届けしたいということで質問の時間をちょうだいいたしました。

 また、大臣は、今の地方のこともございましたが、地域主権を率先推進してこられた大臣でございますので、この法改正の理念をただいまのように確認させていただきましたこと、それから中央から地方への健全な関係の維持、そしてローカル局への励ましをいただいたという思いでございます。

 その意味では、真に地域の主体性を発揮していくためにも、住民に密着した地域の放送文化を高めていく役割、ローカル局の存在というものをしっかり今後も守っていただきたいということを強く要望いたしますが、最後に、再び大臣の御決意、お考えをお聞かせいただければ幸いでございます。

原口国務大臣 地域のローカル局は、先ほどから申し上げておりますように、まさにだれもがマイクを握れる。

 これまで、コミュニケーションにおける国民の権利というのは一体何なんだろうかということをずっと議論してきました。すべての人が公平公正に、安全な環境の中で、さまざまな情報を選択できる権利、つまり受け手としての権利もあります。それだけではなくて、やはり発信できる権利、みずからの地域の情報をみずからが集め、そして、それを地域の中で共有する。

 このことによって地域に対する誇りも、今、ミニFM、もういろいろなところでスタートしていますが、この間、ある離島の友人と話をしましたら、それまで離島にあるものというのは全部コンプレックスだったと、私たちからするとちょっと信じられない言葉ですけれども、全否定をしてきたと。しかし、そこで地域の放送局が生まれることによって、ああ、こんなにすばらしいものがあるんだ、こんなに私たちは誇るものがあるんだ、こんなすばらしい歴史や文化を先人たちが、いろいろなハンディキャップはあるけれども、ガソリンが高かったりとか、そういったことがあるんだけれども、それをはねのけてこれだけ頑張ってきてくれたんだ、私たち子供たちのために頑張ってきてくれたんだということを知ることによって、地域を愛し、そして歴史や文化が本当にわかるようになったと。

 私は、地域のローカル放送局が持つ役割というのは本当に多面的で、まさに拠点だというふうに考えておりまして、今山崎議員がおっしゃるように、地域の放送文化を高めていく、あるいは先ほど、一番最初におっしゃった安心、安全のところというのは、やはり地形とか、あるいは水の動きとか、過去の災害とかもわかっていないとできませんね。まさに命を守り、安心、安全を守る、そういう拠点でもあるというふうに考えております。

 私たちは、今度、市民公益税制といって、公益税制も変えたいと考えているわけです。北海道にもコンサドーレ札幌、市民がつくったサッカーチームがありますね。まさに市民が盛り上げていく。だれかの、中央や一部の人たちの支配を受けるんじゃなくて、みずからが盛り上げていく、地域の拠点としてのローカル局の発展を私たちもしっかりと支えてまいりたい。

 その決意を申し上げて、本当にいい御質問をいただいたことへの感謝にかえたいと思います。ありがとうございます。

山崎(摩)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 その意味では、地域主権、それから地域のICTや放送メディアというのは、やはりある種、ライフラインにも通じるものがあるわけでございますので、今回の放送法改正の一日も早い成立を祈念したいと思います。

 このたび質問の機会を与えてくださいました委員長を初め委員の皆様にお礼を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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