会議録 第174回国会 厚生労働委員会 第3号平成22年2月19日

2010年02月19日 12:46

藤村委員長 次に、山崎摩耶君。

山崎(摩)委員 民主党の山崎摩耶でございます。

 初質問ということですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先般、長妻大臣は所信表明演説の中で命を守るということを本当に力説なさいましたけれども、その命を守る私たちの政権は、地域医療の再生ですとか介護の再生を国民にお約束してスタートを切ってまいりました。

 その意味では、前政権と比べてやはりこのことに主眼を置いておりますので、医療費の削減はしない、OECD平均並みに水準を上げる、医師、看護師、介護 の人材も本当に確保していく、そんなことを目標にしております。その意味では、今回の診療報酬の引き上げ、このことは、医療現場の仲間に、日夜奮闘されて いる仲間に、大変な安心、本当に心強いという後押しをしたのではないかなというふうに思っております。

 厚生労働は課題山積ではありますが、大臣初め政務三役が日夜奮闘しておられることにまずは敬意を表しながら、私も医療専門職の一人として、国民目線でこ の厚生労働行政に、一緒に闘ってまいりたいというその立場から、きょうは何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず一点目は、地域医療体制の崩壊ということでございます。

 このことに関しては、医師不足はかなりこの委員会等でも議論されたやに聞いておりますが、看護師の問題については余り議論がされていないように思いま す。そこで、私は、やはり医療崩壊の中で看護の現場が今大変深刻になってきている、このことを委員とも認識を共通にしたいと思いますし、大臣以下政務三役 にお取り組みをぜひ強化していただきたい。その立場から、若干今の現状というものをお示ししたいというふうに思います。

 まず、帝国データバンクによりますと、全国の病院、開業医の倒産件数、これは昨年の一月から十月の累計でございますが、四十七件。これは、前年度比で見 ますと一・七倍に当たります。過去最悪のペースということです。その中で、医師不足は当然病院倒産につながるわけですが、それのみならず、看護師不足で倒 産をする、こういう病院も出てきている。倒産しないまでも、病棟を閉鎖する、または休止する、全ベッドを縮小する、こういったケースが、国公立病院、私立 病院問わず、規模の大小を問わず各地で起きている、このことを一つは御認識していただければよろしいかなというふうに思います。

 また、看護師が集まらないがゆえに、十対一という配置基準を十三対一、十五対一に削っていく。本当に看護師不足が病院経営に与える影響が非常に大きくなってきている、このことは深刻に受けとめなくてはいけないというふうに思います。

 そのような中で、働く労働者としまして、看護師の労働現場、お手元に資料を四枚差し上げてございます。

 まず一ページ目、これは日本看護協会がおまとめになったものですが、労働環境が悪化しているということで、中堅看護職の離職率が一二・四%、毎年十万人がやめていく現場ですよね。これは、幾ら養成してもやはり人材確保が追いつかない、こういう状況があるわけです。

 それから、一昨年になりますか、〇八年十月には、月平均八十時間近い残業や一日約二十五時間の拘束、一日二十四時間ですが、連続二十五時間拘束の当直勤 務、深夜交代といった不規則な勤務で過労死した二人の看護職がおります。この方たちはいずれも労災認定されましたが、これは、かつて、二、三十年前の二・ 八闘争した看護師不足の状況よりも大変深刻、前代未聞のことでございます。

 これを受けて、お手元の資料三ページ、日本看護協会が鋭意調査をなさいましたそれによりますと、過労死危険レベルは交代制で勤務する二十三人に一人、 四・三%、ここから推計しますと、全国の病院で働く看護職員の約二万人が過労死危険レベルの労働強化にある、こういう深刻なデータも公表されてきておりま す。

 資料の二ページでございますが、もとより、御承知のように、OECD、G7、先進国を比べましても、医師のみならず、看護職員も先進国中十五位。対ベッ ド数でも、五分の一、四分の一の配置しかない。つまり、大変少ない看護職で多くの患者を診ている。安全な環境で、患者さんが安心できる状況ではとてもな い、こんな現場があるわけですね。

 また、もう一つの観点からいいますと、〇六年、この改革は私は本当に改悪と言いたいぐらい最悪だったと思いますが、診療報酬でも七対一。これはよろしい わけです、配置基準を手厚くするのはよろしいわけですが、全体のパイが大きくならない中でこういうことをやりましたので、全国に、かき集められました看護 師がどこにかき集められたか。大学病院ですとか大病院です。それで、結果的には、民間中小病院、これは、地方、都市部を問わず、中小病院ですとか訪問看護 など在宅の領域、それから介護福祉施設などで看護師不足が本当に甚だしくなってきたという偏在が生じました。

 こういった看護師不足には、一つは、やはり確保せにゃあかん、それと、定着をさせなくちゃいけない、この両面からの施策が必要なわけですけれども、この定着促進と、待遇改善といいますか労働環境の整備等について、まずは長妻大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

長妻国務大臣 ありがとうございます。山崎委員におかれましては、訪問看護の方のスペシャリストということで、今後とも御指導をいただきたいと思います。

 一つは、今回、診療報酬改定に取り組ませていただきましたけれども、そこにも看護師の定着促進と待遇改善ということで、急性期病院の看護師が専念できる ように、病棟に看護補助者を配備した場合の評価を新たに設けるという措置、あるいは、専門的な研修を受けた看護師が連携して、病院の中の感染防止対策とか 人工呼吸器の管理を行った場合の評価、これも新たに設けさせていただくということ。あるいは、今、進んでいる病院は、看護師さんのお子さんを預かる保育所 が病院の中にあって、かなり夜遅くまで預かるという措置もしておりまして、これに対して、補助対象に加えて、二十二年度予算案では二十・六億円を入れさせ ていただく。あるいは、短時間正規雇用など、勤務形態もかなり柔軟に実施をする医療機関に対して支援金というのをお渡しして促進する等々。あるいは、看護 師の養成あるいはナースバンクの充実等々取り組みます。

 これは働く女性一般に言えることですけれども、やはりお子さんを、どう子育てを支援するかというのが一つ大きなかぎともなりますので、今後ともその拡充に取り組みたいと思います。

山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 いずれにしろ、養成数をふやしましても定着がしませんと、ざるに水のようなことになりますので、今後とも引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 また、この看護師の問題、ちょっと視点を変えますと、昨今は看護職の活動の場というのも大変広がってきておりまして、特に、在宅の訪問看護の現場などで は、がん末期の緩和ケアですとか高齢者のみとりですとかいろいろなことが期待されているわけですけれども、現行法制度の中では看護職にできることが限られ ている、こんなジレンマもあったりいたしますし、私どもの身分法、医師法、保健師助産師看護師法などは、昭和二十三年、戦後間もなくつくられた法律に依拠 しているところが多うございますので、現在のような、入院日数も短くてハイテクになっている、そんな医療現場になかなか追いつかないといういろいろな現象 が出てきております。その意味では、現行法制度の中では看護職にできることが限られているというジレンマを抱えながらエキスパートナースは働いている、こ んな現場もございます。

 もう一方、少子化の中でお産の問題、医師不足の中で大変課題になってきておりますが、このお産についても、欧米などでは正常分娩は一〇〇%助産師が取り 上げる、こういう国が多いわけですが、なぜか我が国はそういうふうになっておらない。もっともっと助産師の活用も必要かなというふうに考えます。

 諸外国の例を引くまでもなく、看護師の裁量の拡大ですとか役割、業務の拡大というのが教育の充実とともに再編成されているのが現状だということでござい ます。厚労省におかれましても、チーム医療の推進に関する検討会が昨日等も議論をされて、新たな動きがちょっとあるやに伺っておりますけれども、我が国で も、時代のニーズに応じた看護職の役割拡大ですとか裁量の検討、こういったものが、特に訪問看護領域での裁量拡大ですとかナースプラクティショナーのよう な高度実践看護師の養成が急がれているというふうに私は思っておりますし、民主党マニフェストにそのことも記述してございますが、これについて、大臣の見 解及び若干のスケジュール的なものがお伺いできればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 御案内のように、先ほどおっしゃいましたチーム医療の推進に関する検討会は、去年の八月からスタートしてきのうまでで十回と、かなり精力的に議論してい ただいております。このスケジュール観ということが今ございましたけれども、三月を目途に取りまとめをしていただきたい、そのように考えております。

 その中で、先ほど大臣の答弁でもございましたように、まず、専門看護師、認定看護師というのがございます。これは、現在の枠の中で、より看護を深めると いう意味だと思います。それに対して、その業務範囲を広げていくという視点がこの中に入っている。これは、チーム医療の検討会の方は、何も看護師だけでは なくて、薬剤師さん、あるいはリハビリ関係の方、それから理学療法士さん、あるいは介護職員の方々、この方々の行うべき業務という内容について全般的に見 直しをしているということは、今までにない、かなり画期的な取り組みではないか、そのように私は思っております。

山崎(摩)委員 先進国に学び、追いつき追い越せということで、とにかく世界に冠たる高齢国家でございますので、ナースプラクティショナーのような看護の役割拡大をぜひ確実に進めていただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 在宅医療の問題と訪問看護の充実のようなものも大変高齢社会とともに課題になってきておりますが、特に、超高齢社会対応型の医療提供体制のリフォームと いうのはまだまだ必要かなというふうに私なんかは考えておりますし、きっちり在宅でのチーム医療がなければ、入院期間が短くなる中で、病院から出されると いう医療難民のようなものが解消できないのではないか。

 その意味では、今後の在宅医療の推進ですとか訪問看護の充実に向けて、大臣の御所見をちょっとお伺いできればというふうに思います。一言で結構でございますので。

長妻国務大臣 二年後は、診療報酬の改定と介護報酬の改定がちょうど同じ時期にやってまいります。訪問看護、訪問介護も大変これはニーズが高まってまいりますので、これについても一体的な改革を見据えて取り組みたいと思います。

山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 資料の四にはそのことをちょっとおつけしてございますが、訪問看護は、要介護者がどんどん伸びてまいりますのに比べて二十数万人と一向に伸びが、右肩下 がりのようなことで、在宅に従事する看護職が大変少のうございますので、このあたりも力を入れていただければ大変よろしいかと思いますし、私も頑張ってま いりたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後、介護保険に関連しまして、三問ちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 一つは、要介護認定の問題でございます。

 これも、このところ二回ばかり見直しをしている。私はちょっと、まだまだスリムにする必要があるのではないかという気もしております。ドイツなどは三ラ ンクでございますし、今の五段階、二段階含めてというようなことでは、もう少しスリムな認定で利用者にわかりやすいものにしていく方がよろしいのではない かなというふうに思っておりますが、その辺で、要介護認定の見直しについて調査と、経緯もございますでしょうから、ちょっとお答えをいただきたいと思いま す。

山井大臣政務官 山崎委員にお答えをいたします。

 昨年四月に要介護認定の基準の変更をいたしまして、やはりこれで大変現場が混乱したということがありまして、政権交代後、十月にはこれを再度見直したところであります。その結果、要支援一や非該当がふえていったという問題点もかなり収束したというふうに思っております。

 今後、介護保険の見直しの中で、山崎委員御指摘のように、もう少しスリム化した方がいいんじゃないかとか、余りにも煩雑過ぎるんじゃないかということと か、また一方では、現場からはもうこれ以上はいじらないでほしいというような声もございまして、何よりも介護や看護の専門家であります山崎委員のお声を聞 きながら、また考えていきたいと思っております。

山崎(摩)委員 山井政務官、ありがとうございます。

 二つ目は、介護療養病床についてでございます。

 これも大臣が、昨年の十一月二日でしたか、予算委員会で、二十三年度末廃止を凍結して療養病床全体の整備について議論をしていくと発言されております が、今後の行方が大変透明ではないということで、地元の現場では、現在入院していらっしゃいます患者さんや御家族からは不安の声が上がっておりますし、一 方、開設者の皆様から、先が見えない状況で転換計画も立てられないというようなことの不安の声が私の方にもたくさん寄せられております。

 公平に見ましても、このまま何の手当てもしないで削減というのはやはり非常にいかがなものかという意見は私自身も持っております。

 基本的には、しかし、高齢者は住みなれた家など在宅ケアの仕組みで受け皿整備をすべきだというふうに思っておりますが、どの国を見ましても、医療ニーズ ですとか、認知症で、ここが大事なんですね、身体的合併症を持った高齢者、それからターミナルステージなどのために、高齢者人口の一%ぐらいは療養病床、 つまりスキルド・ナーシング・ホームなんですね。このスキルド・ナーシング・ホームはやはり整備しております。

 その意味では、現在、認知症の一八%から二〇%が精神科に入院していらっしゃったり、特養の待機者の四十二万人のうち、在宅でない者は約半数の二十二万 人。これは厚労省から出ている資料ですけれども、特に、介護療養を除く病院、診療所に約五万人待機でございますから、介護療養病床の廃止だけをすればよい ということでもないように思われますので、この介護療養病床についての大臣の御答弁を再度御確認させていただきたく思います。

長妻国務大臣 当初、この発想というのは、社会的入院が多いのではないかということで、そういう発想か ら機械的に目標が決められた。ただ、現場をつぶさに見ますと、おっしゃられるように、普通のベッド、その次が医療療養ベッド、介護療養ベッド、その次はあ る意味では介護保険の世界の老健とか特養になるわけですけれども、その段階を医療のレベルの少ない方に誘導していくというのを非常に機械的に決めてスター ト、こういうことになって、実態と合っていないという声がたくさん寄せられて、今、実態調査をかなり詳細にしております。

 本当にその方が転換する行き先が確保されているのか、あるいは病院の経営者の皆様方はどうお考えなのかというのを調査しておりまして、ことしの夏ごろま でには結果が出てまいりますので、その結果を踏まえて今後の方針を決定するということであります。いずれにしましても、この計画の猶予も含めて検討してい くということになります。

山崎(摩)委員 大変ありがとうございます。

 明確な御回答をいただきまして、現場の方も少し今後の方向性が見えてくるのではないかなというふうに思います。

 いずれにしろ、医療療養も含めまして、療養病床の問題については、おっしゃられたような全体的な検討が必要だというふうに思いますので、また国民のお声、現場のお声を聞きながら、私どももともに考えさせていただきたいと思います。

 最後になりますが、大臣、さっきおっしゃられましたように、二十四年は診療報酬と介護報酬の同時改定でございます。介護保険制度の制度見直し、多々課題はございますが、その見直しの方向性など、一言で結構でございますので、大臣の方から御答弁いただければと思います。

長妻国務大臣 やはり、介護の一つの着地点というのは、施設で介護を受けたいというニーズもありますし、あるいは御自宅で介護を受けたいというニーズもありますので、ある意味では選択できるような形にする。

 あとは、施設にしても、自分の住みなれた地域の中でそういう介護を受けるということが必要だということで、まずは、具体的には、今後三年間で施設については十六万ベッドを整備する。これまでの三年間の二倍のスピードでの整備。

 そして、もう一つ重要なのは、まさに訪問看護、訪問介護の体制を充実するということで、その利用人数も我々としては拡充をしていきたいというふうに考えております。

 そして、何よりも介護職員の方の処遇を改善しなきゃいけないというのが大きな問題となっておりますので、それについても取り組んでいくということでございまして、いずれにしましても、二年後には同時改定となりますので、それを見据えた一体的改革。

 あるいは、国土交通省とも今議論をしておりますけれども、町づくりとしても、今、東京大学が中心となってモデルの地域をつくって、お年を召した方が生き 生き暮らせて、医療、介護サービスも地域で受けられるようなモデル都市を場所を決めて取り組みをしておりますので、それも我々は参考にしながら理想の介護 を求めていきたいと思います。

山崎(摩)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 いずれにしろ、超高齢社会でございますので、医療、介護、これを、本当に国民の老後の安心材料になりますように、新政権ともども頑張ってまいりたいと思います。

 いずれにしろ、人の命を削るような政治は私たちはしないということで、また邁進してまいりたいと思います。御指導よろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

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