会議録 第177回国会 法務委員会 第6号平成23年4月15日

2011年05月02日 16:54

○奥田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎摩耶君。

○山崎(摩)委員 おはようございます。民主党の山崎摩耶でございます。

 本日は、民法の一部を改正する法案につきまして質問の機会をちょうだいしたこと、まずは感謝申し上げたいと思います。

 私も実は医療専門職でございまして、児童虐待の問題ですとか社会的養護の問題、現場の実情も重々承知しておりますし、年々増加いたします児童虐待というものについては、本当に心を痛めている社会問題だなという認識をしております。

 未来を担う子供たちが、その幼いときから命を落とす、または痛ましい事件等も後を絶たない。昨今の新聞報道を挙げてみますだけで、アパートに幼い二人の幼児を置き去りにして餓死をするとか、一歳児の虐待死ですとか二歳児の暴行死、または三歳児をごみ袋で窒息死、六歳児を洗濯機の水槽に閉じ込めるなどと、本当につらくなるような事件が後を絶たないわけでございます。

 その意味では、地域の現場では、児童相談所を初め保健医療福祉の皆様が本当に頑張っておられるのも承知しておりますが、しかし、なかなかまだ十分に地域でこの問題に対処するネットワークができていないとか、また社会的養護に関しましても、私も青少年特別委員会にかつて属しておりましたので幾つかの養護施設等を視察に参りましたけれども、そのケアの質といいますか、世の中がこれほど充足してきているにもかかわらず、やはり社会的養護施設の持つさまざまな水準というものをもう少し引き上げねばならない、そんな問題意識を持っているようなところでございます。

 きょうは、法案の審議に入ります前に、一つ二つ、児童虐待の現状、実態ですとか、あと社会的養護のことについて厚労省に質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、児童虐待の実態と対応状況、課題について厚労省にお尋ねいたしますが、お手元には資料の一、資料の二ということで、これは厚労省のデータでございますが、児童虐待の対応件数及び虐待による死亡事例件数、それから資料二には虐待相談の対応状況等、その措置の状況をお示ししてございます。

 まず、児童相談所における全体的な養護相談の受け付け件数ですとか、それに対応します児相の体制、児童福祉司の数、推移等について厚労省にお尋ねをしたいというふうに思います。

○石井政府参考人 数字についてのお尋ねがございました。

 児童相談所の養護相談の受け付け件数でございますけれども、平成二十二年の三月末で八万七千五百九十六件となっております。この中の四万四千余りが児童虐待ということになるわけでございます。

 そして、児童養護施設でございますが、平成二十二年三月末で五百七十五施設、定員は三万四千五百六十九人、現員としましては三万五百九十四人となっております。保護者の状況についても申し上げますと、平成二十年の二月一日で、実母のみが三五・三%、実父母ありが二三・一%、そして実父のみが一五・四%、実父母なしが八・六%、かようになっております。

○山崎(摩)委員 相談件数、全体では三十七万件ぐらいだったかというふうに思いますが、養護相談八万七千件のうちの約半数が虐待に関するものだと。

 この対応件数は、図表にお示ししましたように、年々増加をしてきている。この増加傾向について、厚労省はどんな所見をお持ちでしょうか。

○石井政府参考人 先生が御配付いただきました資料にありますとおり、児童虐待の相談対応件数は、平成二十一年度四万四千二百十一件でございますが、このグラフにございますように、統計をとり始めましたのが平成二年度でございますが、一貫して増加をいたしているところでございます。

 また、下の表の方には死亡の事例の件数も掲げておりますが、これも年間に直しますと五十件から六十件、心中以外のケースでございますが、年間五十件から六十件と非常に高い水準で推移をいたしておりまして、平成二十年度は六十四件であります。

 このように児童虐待が増加傾向を示しているということでございますが、さまざまな要因が絡み合っているというふうに思っております。一つは、核家族化や地域のつながりが希薄になっていることなど養育力が低下をしてきているということ。そしてもう一つは、虐待の認識の広がり。これは、虐待防止法の中で通告について義務づけられるとかそういったようなことも一つあろうかと思いますけれども、虐待通告が増加をしてきている、この両面があるのではないかというふうに考えております。

○山崎(摩)委員 子供の虐待という問題そのものは、やはり社会の病理現象といいますか、そこが集積をするという痛ましい事件だろうと私も認識をしているところでございます。

 その相談を受ける児童相談所でございますが、全国に二百四カ所、児童福祉司は今二千四百七十七人程度というふうに伺っておりますが、この児童相談所に虐待を含む養護相談、実は相談の中身では二三・六%を占めているわけですね。しかも、今お話あったように、増加し続けているということを考えますと、全国で二百四カ所の児童相談所が本当に対応し切れているのか、それから、児童福祉司等のスタッフ、専門職が不足しているのではないかと私は思うわけですが、この点についてはいかがですか。

○石井政府参考人 委員御指摘のとおり、今、児童相談所、虐待の通告件数も大変ふえている中で、職員は多忙をきわめております。

 こうした中で、私ども、きちっと対応していただくためには、やはり配置の状況についても充実をしていただかなければいけないというふうに考えておりまして、この児童相談所の職員の配置につきましては、これは地方自治体の方で定員をお決めになるということでございますので、交付税措置の中の最低基準、その数をふやしていただくような要望を総務省の方にさせていただいて、できる限りの措置を図っている。

 それからもう一つ。昨年、安心こども基金の中で、児童相談所の体制整備ということも可能なような予算的な措置も、十分の十補助という形で盛り込ませていただいたところでございます。

○山崎(摩)委員 交付税ということで、色がついているのかついていないのかわかりませんけれども、やはりなるべくこの分野のスタッフがふえるように、また一段の御努力をしていただきたいなというふうに思います。

 次に、社会的養護の問題についてお尋ねをしていきたいと思いますが、保護者のいない児童、被虐待児など、家庭環境上養護を必要とする社会的養護対象児童というのは約四万七千人と言われておりますが、児童養護施設はそのうち三万人が入っていらっしゃるということです。

 資料の三に若干現状というものをお示ししてございますが、児童養護施設の類型の中で、特に里親ですとかファミリーホームといったものの整備といいますか、この数が、やはり先進諸国に比べて日本は低いのではないかという認識を私は持っております。

 そのあたりについて、少し厚労省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○石井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本の社会的養護の対象児童がどういうところにおられるかということを見たときに、基本的には施設に措置されている傾向が多いということがございます。

 社会的養護の中で、今委員御指摘になられました里親等委託の割合、里親等委託率というのを見た場合に、平成二十二年の三月末で一〇・八%でございます。これを国際的に見た場合に、例えば、ドイツでは約三〇%、そしてイギリスでは約六〇%など、他の先進国に比べてやはり少ない、低いといったような状況にございます。

 その原因といたしましては、一つには、里親制度の周知や理解あるいは支援体制が十分に進んでいないといった点、そしてもう一つは、実親が、子供をとられてしまうのではないか、そういう懸念から里親委託を了解しないことが多く、そうした結果、どうしても施設に措置をされてしまう傾向があるということなどが指摘をされているところでございます。

 ただ、私どもといたしましては、やはり家族を基本とした家庭というのが子供の成長とか福祉保護にとって大変自然な環境でありますし、特定の大人との愛着関係のもとで養育されることによって、お子さんとしては安心感なり自己肯定感なりあるいは基本的な信頼感をはぐくむことができるというふうに考えておりまして、やはり、この社会的養護の対象児童さんをできるだけ家庭的な環境で育てることができる、そういったようなことにしむけていくことが重要ではないかと思っております。

 里親等委託率の引き上げを図るためにいろいろ措置はこれまでも講じてきておりまして、例えば、平成二十一年の四月からは里親手当を引き上げるとか、あるいは新規里親の募集や里親支援等の業務を実施する里親支援機関事業といった施策を二十一年度から実施もいたしておりますし、またさらに、今般、つい先ほどでございますが、里親委託ガイドラインを策定いたしまして、里親をしっかり進めていこうということで取り組みを進めているところでございます。

○山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 実母がなかなか里親にお預けをするということを了解しないとか、いろいろお話がございました。そのことは本当に、今回の法改正、親権の問題とかかわってくるところかなというふうに今思っているところでございます。

 それから、先ほど、施設に入所しているお子さんの保護者の状況、数字をいただきましたけれども、実母のみとか実父のみといった片親の世帯の方が半数を超えているというようなことでは、やはり家族の支援ということが被虐待児への支援と同様に非常に重要になってくるんじゃないか、そんなことも考えられるかなというふうに思います。

 それと、施設が、依然として日本は児童養護施設というのが圧倒的に多いわけですけれども、今お話あったように、施設そのものをグループホーム的に小規模化していくことですとか、里親、ファミリーホームといったような家庭的雰囲気の中で養育、社会的養護をしていくということを今後ますます私は推進していただきたいと思いますが、そういう方向性に向かっていると認識してよろしいのでしょうか。

○石井政府参考人 全く委員のおっしゃるとおりでございまして、施設につきましては小規模化、そして里親委託率を高めていく、あるいはファミリーホームといった形態も進めていこうというのが、今私ども進めていこうということで取り組んでいるものでございます。

○山崎(摩)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次の質問は、とはいえ、社会的養護は施設がまだまだ依然として多いわけですので、ここの処遇の改善といいますか、これも大きな課題だというふうに思っております。

 社会保障審議会児童部会の社会的養護のあり方に関する専門委員会の報告書を見ますと、現在の施設類型のあり方を見直すということと、人員配置基準ですとか措置費の算定基準の見直しなど、ここでケアの改善が提言されております。

 現行の状況をちょっと見てみますと、スタッフの配置、職員の配置というのは六対一ということになっているが、実際に二十四時間三百六十五日これを割り出していきますと、実態的には十五対一、お一人のケアなさる方がお子さんたち十五人を見なきゃいけない。また、施設によっては二十四対一というようなことで、これは大変、やはり余りに低い配置基準ではないかという感じがいたします。それから、家庭支援専門員ですとか看護師ですとか心理療法の担当職員、これも定員に応じて加配ということになっておりますが、なかなか現場では加配できる状況にはなっていない。

 それから、私が本当に、これは幾つかの養護施設へ視察に参りまして涙したことは、やはりストラクチャーといいますか施設そのものが大変古かったり、それから児童の居室が一部屋十五人以下ですよね。これは、特別養護老人ホーム、高齢者ももう個室の時代、少なくとも特養も一部屋四人以下ですよね。ですが、この十五人以下、ちびちゃんだからいいということではないと私は思います。それから、一人当たりの面積三・三平方メートルです。特養は十・六五ですよね。さらに、共有部分三平方メートルがあり、特養は大人ということもあるかもしれませんが十三・六五平方メートル。ですが、お子さんたちは一人につき三・三。これは予算に絡みますが、設備のための一人当たりの単価、児童養護の場合は二百二十三万円ですが、特養は二百八十五万円とここでも差がついている。ちなみに公営住宅というのをちょっと見てみましたが、やはり公営住宅は、お一人当たり十平方メートル掛ける世帯人員プラス十平方メートルというようなスペースになっている。

 ですから、ほかの養護の施設から比べてもやはり児童の施設というのが、そのまま、何か余り改善されないで来ているんだなということがちょっとあるかなというふうに思いますね。

 ですから、一歩外に出て、世の中がこれだけということをさっきちょっと申しましたけれども、一時預かりも含めまして、本当に何か、昭和四十年代、五十年代に建てられた、こういうのを引き合いに出して適切かどうかわかりませんが、この大震災の避難所に類似するような、余り十分でもないようなところにお子さんが三十人ぐらい寝ていらした、それも私どもも視察で拝見したりしたようなことでございます。ですから、決して子供が育つのに十分なクオリティーのある施設にはなっていない。

 このあたりは報告書を受けて改善の傾向にあるのかどうなのか、そこだけちょっと端的にお答えいただきたいと思います。

○石井政府参考人 まさに、その児童養護施設の施設の状況を改善しなきゃいけないという思いに私ども立っておりまして、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会等において検討を行っております。

 まず、新たな予算措置を必要としないものは早急に改正をしようということで、職員配置については、家庭支援専門相談員や個別対応職員などの配置は義務化をする。そして、児童養護施設に入所する児童の居室については、一人当たりの居室面積を、現行三・三平米、これを小学生以上は四・九五平米に引き上げる。さらには、一室当たりの居室定員も、現行の十五人以下から四人以下に、未就学児は六人以下に引き下げる等、こういった当面の改正案を取りまとめておりまして、省令改正の手続を現在進めているところでございます。

 また、今回の改正に引き続きまして、新たな予算を要する人員配置の見直しにつきましても検討委員会等で検討を進めているところでありまして、社会的養護の充実を図ってまいりたいと思っております。

○山崎(摩)委員 さすがに十五人以下ではなく四人以下というようなドキュメントが出たようでございますので、それをしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、そのための予算確保であれば、私どももちゃんと尽力をしていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 最後の質問になりますけれども、子ども・子育てビジョンということで、社会的養護の充実、こちらの方でも数値目標をお立てになって取り組んでいらっしゃいますが、直近の数字といいますか、その目標値どおりに進捗しているのかどうか、そこだけちょっとお伺いしたいと思います。

○石井政府参考人
 子ども・子育てビジョンの中で、社会的養護につきましても、平成二十六年度の目標値を設定して推進を図っております。

 具体的な目標値と直近の実績でございますが、まず、里親等委託率、目標値は一六%でございますが、二十一年三月末で一〇・四%だったのが二十二年三月末で若干上がりまして一〇・八%、そして、小規模グループケア、目標値八百カ所のところ、平成二十二年三月末では四百五十八カ所、そしてファミリーホーム、これは、実は二十一年四月一日に制度創設のため、まだ生まれたばかりの制度ということでございますが、目標値は百四十カ所のところ、二十二年の十月一日で百四カ所になったところでございます。

○山崎(摩)委員 ありがとうございます。

 歩みが順調なのかどうなのか、ちょっとこの場では評価し切れませんけれども、引き続き御努力いただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 それでは三番目に、今回の法改正について質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の法案の趣旨は、児童虐待の防止を図り、児童の権利利益を擁護するという観点から、親権の停止制度を新設して、法人または複数の未成年後見人の選任を認めるなどの改正ということです。これまでの民法の親権制限規定が、今話題にしてまいりました児童虐待防止のためにほとんど機能してこなかったという現場ですとか専門家からの指摘もあったことを踏まえますと、着実な一歩ではないかというふうに今回の民法改正は評価できると私は思いますが、まず、今回の改正について大臣の御所見を一言いただきたいと思います。

○江田国務大臣 この改正法の趣旨というのは、先日、趣旨説明で申し上げたところでございますが、子供の育ちというのは、社会にとってもあるいは親にとっても未来の希望であり夢なんですね。子供を育てていく、子供がすくすく育っていく、これがなければ、やはり社会の未来というのはないんだと思います。しかし、実際には子育てというのはなかなか大変で、それは親が思うように育つわけではない、だからおもしろいとも言える、だから手ごたえがあるとも言える。

 しかし、そこへいろいろな問題が起きてきて、近年、特に、児童虐待というのが深刻な社会問題になっているというのはもう委員御指摘のとおりです。児童虐待防止法をつくりましたが、しかし、委員が冒頭お挙げになったような悲惨な事案がなかなか後を絶たない。その中には、親の親権の主張が児童虐待を防止するのに障害になっているというようなことがやはりあったんだろうと思うんですね。

 そこで、これは、親権は喪失かあるかどっちかしかないというのが今の民法の制度で、これではなかなか現場対応というのはうまくいかないということで、もっと柔軟にいろいろな対応ができるようにということで、法的な整理が必要だという指摘が随分長くございました。特に児童虐待を行う親に対しては、必要に応じて適切に親権を制限する場合があると考えられます。

 あるいはまた、児童虐待の事案で親権を制限した後に親権者にかわって子の身上監護あるいは財産管理などを行うべき適任者を確保する、これも必要であるということで、今回、この法律案では、児童虐待の防止等を図り、同時に、児童の権利利益を擁護する、こういう観点から、民法と児童福祉法その他の法律を改正して親権停止という画期的な制度を新設し、未成年後見制度の見直しとかあるいは児童相談所長の権限の拡大とか、こういうような所要の法整備を行うことを意図したわけでございます。

 ぜひひとつ早期に成立をさせていただきたいと思っております。

○山崎(摩)委員 大臣、ありがとうございました。その方向性については全くそうだろうというふうに私も思っております。

 この法改正につきましては、平成十九年の児童虐待防止法及び児童福祉法の一部改正の附則の二条で、施行後三年以内に親権に係る制度の見直しをと。大臣が今お話しされたようなことで、その後、さまざまな研究会ですとか社会保障審議会専門委員会、法制審議会等で報告書が出て、論点が整理をされてきたということは承知しておりますが、その論点整理された内容が今回の法改正に盛り込まれているということでよろしいのでしょうか。

○黒岩大臣政務官 法制審議会の答申及び社会保障審議会の専門委員会の報告書に幾つかの要望事項がございまして、ただ、運用ベースにもう落とされているものもありますけれども、少なくとも法律改正として必要とされたものはすべて今法案に盛り込まれていると承知をしております。

○山崎(摩)委員
 その報告書の御提言の中で盛り込まれていない項目はないということですか。

○黒岩大臣政務官 ないものと認識をしております。

○山崎(摩)委員 今回改正のポイントというのを少しお伺いしたいというふうに思います。

○黒岩大臣政務官 もちろん幾つか多岐にわたるんですけれども、まずは親権の制限でございます。これも先ほど大臣からも説明ありましたけれども、二年以内の期間に限って親権を行うことができないという親権の停止制度を創設いたしました。

 そのほか、民法において、子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人も、家庭裁判所に対しまして、親権喪失等の審判の請求をすることができるようにするといったことも盛り込まれております。

 そのほか、未成年後見人制度に関してなんですけれども、やはり子の安定的な監護を図るための措置といたしまして、まずは、民法において、複数の未成年後見人または法人の未成年後見人を選任することを可能にする、二つ目といたしまして、児童福祉法におきまして、里親等委託中及び一時保護中で親権者等がいない子について、親権者等があるに至るまでの間、児童相談所長が親権を行うこととするといった内容が盛り込まれております。

 そのほか、民法におきまして、親権者は子の利益のために監護、教育をすべきことを明確化するなど、さまざまな論点が盛り込まれている法律案になっております。

○山崎(摩)委員 少し内容でお尋ねしたいと思いますが、法人による未成年後見人の選定ができるというところで、法人または複数でもよいというふうになっておりますが、ちょっと具体的にお聞かせいただきたいことと、現場での課題というのは、社会的養護施設を十八歳で出るわけですが、その十八歳で退所後も、引き続きこれらの未成年後見人がケアできるのかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

○黒岩大臣政務官
 今、この未成年後見人が複数または法人の具体的なケースはどうかという御質問をいただきました。

 まず、複数についてお答えいたしますけれども、典型的な場合としては、まずは、おじやおば、祖父母が二人で後見人となって、共同して後見事務を行う場合、また、子に多額の財産があるといったような場合には、親族のほかに、弁護士等の専門家を後見人に選任し、一般的な後見事務は親族が行いますけれども、特定の財産の管理については弁護士等の専門家が行うということを想定いたしております。

 また、法人に対しての御質問に対しては、これは、典型的なものとして、児童福祉施設を運営する社会福祉法人を想定いたしております。具体的には、社会福祉法人が運営する児童福祉施設から自立をした場合、自立をした未成年者に親権を行う者がいないような場合に、その未成年者のことをよく理解しておりまして良好な関係が築かれている当該社会福祉法人を未成年後見人に選任することを想定いたしております。

 そのほか、最近、子供の問題を扱っているNPO法人などが幾つかできておりまして、特に弁護士さんなんかが絡んでいるNPO法人から、今後、未成年後見人に適した法人が育ってくるのではないかと期待する声もあります。

 あと、十八歳での退所等については、これはちょっと当局の方から答えさせていただきます。

○原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、十八歳になりますと施設から退所するわけでございますが、まさにそういった児童を念頭に置きまして、児童養護施設を運営しております社会福祉法人に引き続き未成年後見人になっていただくということを考えているわけでございます。

○山崎(摩)委員
 ありがとうございます。

 未成年後見人の問題は、本当に退所後の、成人し、社会的に自立していくまで、もうぽっと社会に出されてしまうというので、本当にそこの手当てが制度的にはなかったわけですので、今回、大変いい改正をしていただいたかなというふうに思いますが、一つ、社会福祉法人に加えてNPO法人もというお話でございましたが、貧困ビジネスに昨今見られますようなさまざまな事象というのもありますので、やはりきちんとガイドラインを持って、法人格と言われてもすべてがオーケーではないよといったようなところの縛りみたいなものも明確にきちんと運用上はしていっていただきたいというふうに思います。

 それからもう一点。一時保護が行われていない未成年者でも、その福祉のために必要があるとき、児童相談所長に親権、または未成年後見人の選任ができるということのようでございますが、もう少しこれも御詳細を御説明くださいますか。

○原政府参考人 今回の改正によりまして、児童福祉法も一部改正をしております。

 従来、施設に入所している児童につきましては施設長が親権を代行することができるという規定がございましたけれども、里親委託中の児童あるいは一時保護中の児童につきましてはそういう親権の代行の規定がございませんでしたので、そういったお子様につきましてもやはり親権を代行していただく適切な方がいることが望ましいと考えましたので、新たに親権代行制度というのを設けまして、児童相談所長が親権を代行することができるということで、お子様の権利利益の擁護ができるような配慮もしているわけでございます。

○山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 保護者に対する指導の実効性を高めるということも今回少し盛り込まれているようでございますが、親御さん、保護者への指導の実効性、これがまたなかなか難しい課題ではあるわけですが、その高めるための方策というのは具体的にどのようなことが想定されているのでしょうか。

○石井政府参考人
 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、単に一時停止をしただけで終わるわけではございませんで、やはり究極的には親子再統合に向かう姿を目指すべきと私どもは考えているところでございます。

 虐待によって親権を停止された親に対して、その停止されている期間、親子の再統合に向けて指導、支援を適切に行っていくために何をしていくかということになるわけでございますが、実は、平成二十年三月に、保護者への援助についてのルール化を明示した、児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドラインを策定いたしておりまして、その中で、児童福祉司等による面接や、家庭訪問での指導、支援、関係機関が実施する親子の再統合に向けたプログラムへの参加の促進などを示しております。

 また、予算措置といたしまして、家族の再統合のための保護者指導支援員や精神科医などを児童相談所などで活用するための経費も補助をいたしておりますし、さらには、やはり関係機関の専門性の向上を図っていかなきゃいけない。その観点から、保護者指導、支援に関する研修を子どもの虹情報研修センターにおいて実施をいたしているところでございます。

 再統合に関しましては、現在、さまざまなプログラムがございます。その多様なプログラムの実施状況やその効果などについて研究を進めておりまして、その中で保護者指導に関する調査、検証を行ったその研究の結果を踏まえまして、さらに全国の児童相談所が保護者指導、支援に適切に取り組めるよう努めてまいりたいと思っておりますし、また、親に対する支援、指導のあり方について好事例をまとめてお示しして、この普及に努めてまいりたい、かように考えております。

○山崎(摩)委員 具体的にはそういうことでお進めいただくということですが、家裁が承認して児童相談所長から保護者に指導をする、その先の具体的なことが今お話しいただいたようなことだということでよろしいわけですね。

 今回の法改正では、親権の一部制限制度の導入というのが見送られたということですが、これについてはどのような議論があったのか、ちょっとお聞かせください。

○黒岩大臣政務官 委員おっしゃるとおり、親権の一部制限制度、このことも議論されております。親権に対する制限は最小限にすべきであることなどを理由として、確かに親権の一部を制限する制度を設けるべきとの意見は出ておりました。しかし、法制審議会での議論でございますけれども、まず一番目として考えられるのが、親権のうち、いわゆる身上監護権のみを制限する制度をつくってはどうか。二番目としては、事案ごとに必要な部分を特定して親権の一部を制限する制度。この二点について検討が行われました。しかし、次のような問題点が指摘されましたことから、これらの制度は設けないという答申に至りまして、本法律案においても親権の一部を制限する制度は設けないこととしております。

 その理由としては、まず、身上監護権を制限する制度についてなのでございますけれども、親権のうち身上監護権を制限して、身上監護権のみを有する未成年後見人がその後選任されたとしても、当該未成年後見人において契約等についての法定代理権や同意権、この管理権を行使することができなければ、身上監護権のみがあっても子の安定的な監護を全うすることができないのではないかという問題点が指摘されました。

 二番目としてですけれども、現実として、身上監護権を適切に行使することはできない、だけれども財産管理権については適切に行使することができる親権者というものは余り想定されない。今、逆に、身上監護権を適切に行使することはできても財産管理権については適切に行使することができないのではないかという親権者に対しては、財産管理権の喪失という規定がございますが、この逆の場合は余り想定されないのではないかという問題点が指摘されたことがありまして、結論といたしては、今回、親権の一部を制限する制度は設けないこととしている、そういう御理解をいただきたいと思います。

○山崎(摩)委員 もう一点は、懲戒権規定の規制についてでございますが、懲戒場といった古色蒼然としたものは削除されましたが、懲戒権規定そのものの削除には至らなかった。これについてはどんな議論があったのか。しつけを口実にして虐待を認めるものとして削除を求めるような意見もあったというふうに聞いておりますが、いかがでございましょうか。

○黒岩大臣政務官 御指摘の懲戒については、現行法では必要な範囲内ですることができる。現状ではその範囲内でしつけをしている親権者が大多数であるにもかかわらず、この規定そのものを削除してしまうと、逆に、そのような、必要な範囲内でのしつけすらできなくなるといった誤った受けとめ方がされないかなどといったことが問題視されました。

 現在ある規定を削除することによる社会的影響についての今申し上げたような懸念があるほか、親の子に対するしつけのあり方については大変さまざまな、多様な御意見がある中で、単に規定を削除するということに国民的理解が現時点で得られるのかどうかという問題点も指摘されました。

 結論といたしましては、本法律案におきましては、先ほど委員御指摘の、まずはこの懲戒場といった記述については削除をしましょうと。そして、単に懲戒権の規定を削除するのではなく、今回の法律案においては、懲戒の範囲について文言上明確に限定を付すこととして対処をさせていただいたと御理解いただきたいと思います。

○山崎(摩)委員 明確に文言で対処するということですので、それをよしとしますかということですね。

 最後の質問は、親権停止の戸籍上の取り扱いでございますが、これは記載等についてはどのようになるのでしょうか。

○黒岩大臣政務官 親権喪失等の審判がなされた場合、戸籍上はどういうふうに記載されるのかという御質問を受けましたけれども、まず現行法のもとでは、親権喪失または管理権喪失の審判がされた場合は戸籍にその旨を記載することとなっております。また、今回の法改正により新設されます親権停止の審判がされた場合、この場合も戸籍にその旨の記載をすることを予定いたしております。

 その理由といたしましては、親権、特に管理権の有無は、未成年者及びその法定代理人と取引関係にある第三者や、取引関係に入ろうとする第三者の利害に重大な影響を与えるものでございますので、これは戸籍に記載しておくべきであろうと。二番目の理由としては、戸籍というものは、子の年齢と親子関係を明らかにすることによって、子がだれの親権に服するのかということが明らかにされているものでございます。こういうことから、親権の有無に変動が生じた場合は戸籍に記載する必要があるということで、こういった対応を予定いたしております。

○山崎(摩)委員 ありがとうございました。

 もう時間が参りましたが、しかし、子の福祉というか、子の立場に立って考えますと、やはり、戸籍の問題というのはいろいろ今後も議論があるのではないかなと私はちょっと思っておりまして、またこれは機会がありましたら議論をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の法改正が、いずれにしましても、人生の入り口で親からの虐待という大きなダメージを受ける子供たちの回復ですとか健やかな成長に資するものだろうというふうに考えますし、また、保健医療福祉従事者、現場の専門職の方たちにも、親権の一時停止というようなことで、さらに個別のケアが充実して展開されていくのではないか。その意味では、まさにチルドレンファーストという民主党の政策理念が浸透していくことの一つにもなっていくかなということで受けとめさせていただいたということでございます。

 どうもありがとうございました。

○奥田委員長 以上で山崎摩耶君の質疑を終了いたします。

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