TPPを慎重に考える会で訪米・ワシントンで31か所で意見交換!

2012年01月15日 12:25

1月8日から13日までワシントンへ、TPPに関する意見表明と情報収集に行ってまいりました。今回は「TPPを慎重に考える会」の山田正彦代表ほか6名の議員と事務局でワシントン訪問。今回の、訪米の目的は、①日本において反対している国民感情や議会の動きをアメリカの関係者に伝えること、また②懸案となっている様々なテーマ、知的財産,医療制度、農業における問題などを議論して、両国関係者の将来における合意を得ていこうということ。

政府機関では、国務省、USTR(米通商代表部)で話を聞き意見交換。また上院・下院の議員(補佐官等)事務所を11箇所訪問、賛成の議員、反対している議員と意見交換。会期中ではないため、多くの議員が地元で国会には不在であったが、補佐官等に伝達。さらに、13のビジネス、業界団体とも意見交換。米や小麦といった農業団体、豚肉、乳牛等の団体、知的財産、製薬関係の団体、さらに国連の国際投資紛争解決センターでISD条項のシステムのヒヤリング、アメリカ国内でTPPに反対する立場のNGOであるパブリックシチズンや環境団体のオセアナ、また大学関係者からも話を聴くことができ、3日間で31箇所もの訪問をこなしたハードなスケジュールであったが、収穫もまた大きいワシントン滞在となった。

日本国内に、国会議員では半数が反対もしくは慎重論の立場であることを先方に伝えると、当初にこやかでフレンドリーだった表情も、にわかにこわばり、真剣になっていく、という同様の反応が各所で見られた。また私たちが驚いたこととしては、アメリカ政府あるいは国民のみんなが自由貿易を推し進め、それがアメリカの利益にかなっていると考えていたが、自由貿易に懸念を持つ人もまた多いということが判ったこと。上院・下院議員の中にも懐疑的、慎重論もあり、それは各議員の選出地元が農業州だったり、工業だったりで異なることも。

ご存知のように今年は大統領選で、ちょうど火曜日はスーパーチューズデイということでロムニー候補がトップを取り、秋の大統領選に向けてのスタートが切られたのを現地で肌にすると、このTPPはアメリカ国内においては現在、さほど重要な位置を占めておらず、むしろオバマの今の最大課題は「第一に雇用。第二に雇用、第三に雇用」といったところにある。雇用が回復し、失業率が0,5%でも解消すればそれが追い風になる。ここ、ワシントンでも議事堂が後ろに望める、メインストリートの公園に「99%]の怒れる若者のテント村ができていることに驚かされた。

USTRではマランテイス次席代表、カトラー代表補が対応してくれたが、「関税撤廃 例外を認めず」との考え方を強調され、センシテイブ物品についても、長期間の猶予を設けた関税削減やセーフガードなどにとどまると示唆し、「例外はないのか」というこちらからの再度の質問にも「包括的で高水準の自由化を目指す」と応えていた。

またTPPはバイではないので9カ国相互のネゴシエーションもあり、相当時間がかかるということも聞かされた。直近でも大統領選後になるだろうとか、2-3年かかるという観測も。またここまでテーブルで固まってきているので、日本に入ってほしくないという意見も。日本が一から入れば時間がかかるということらしい。また、ルールメーキングが終わっているのに今から入りたいという日本が良くわからないという意見も。様々なとらえ方も聞かされた。

また意外だったのは各所のキーパーソンから、「米韓FTAの内容を参考に!」という言葉が返ってきたことであった。そこに書かれている条項がすべてをあらわしているということらしい。この米韓FTAで医療制度や知財の問題などもどのように取り扱われているのか、さらに深堀する必要を感じた次第。しかもこの米韓FTA、韓国国内では国会でも国民の間でも反発が大きく国会を揺るがしていることはご承知のところ。国益を考えるのに良い教材ともなる。

業界との意見交換では日本の連合にあたる米国労働総同盟・産業別労働組合会議ともこのTPPには反対!TPPで多国籍の企業の利益は増えるが、労働市場ー雇用や賃金が不安定化することを懸念。NAFTAでは100万人もの雇用が失われたことが、労働界やNGOなどのトラウマになっており、決してTPPには幻想は抱いていない。議員の中にも、このことを重く受け止めていて昨年は3つのFTAが国会で議決となったが、韓国とのFTAには賛成したが、あと二つには反対した議員も。その理由がやはり外国からの安い労働力のなだれ込みにあったという。

全米自動車政策協議会では「米国の自動車業界は日本の参加を支持できない」と。

「交渉に参加するか否かは日本政府が決めること」と慎重な物言いに終始したマランテイス次席代表も、最初はエリートのナイスガイよろしくにこやかだったが、私たちの主張を聞いているうちに笑みを浮かべつつも表情が引きつり、手にしたペットボトルを握りつぶしていたのが印象的だった。初めて日本政府や国会の賛成派ではない慎重派と会談した彼が慎重になっていた様子が伺われた。

医療制度関係では、国民皆保険制度そのものを何とかしろーという要望が出るとは思われないというむきもあるが、ストレートにこなくとも,医薬品の新薬開発の特許期間をかなり長くしてデータについても厳しく取り扱うといったことや,薬価の決定プロセスへの介入、後発薬品の問題や混合医療など懸念が懸念でないことも明白になった。

TPPで知財権が大きく問題になるということもわかったこと。民間企業が相手国を訴えられる仕組みなどこれまで国内で誰が予測しただろうか?相手国の制度によって企業が不利益をこうむったと申し出ることで、国内の制度を揺るがすことも可能な仕組みなのである。

TPPに関しての政府からの情報はあまりにも少ない。今回ワシントンに乗り込んでの情報収集と意見交換は大きな収穫となった。

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