TPP訪米団・ワシントンレポート<その2>

2012年01月19日 14:46

1月8日から12日までTPPを慎重に考える会の山田正彦代表はじめ6名の国会議員で、ワシントンに調査団として訪問したことは、すでにこのブログでも報告したところです。今回は詳細レポートを報告したいと思います。3日間で31箇所を訪問、意見交換しましたが、ハードスケジュールでしたね!と帰国してまず言われました。まあ、政治家にとっては、いつもの地元回りを思えば普通の日々と変わらず、こんなものでしょうといった感じですが、大使館の運転手さん曰く 「議員の視察でこんなにハードなのは初めてです」と。

さて、日本にいて政府及び民主党内でも明らかにされてこなかったいくつかの点が明らかになったことだけでも、今回の訪米は「一見にしかず」、大いに成果がありました。

その1:【厳しい対日要求】 例外なき関税撤廃。このことは「例外品目をどれだけ勝ち取れるかは交渉次第」などといったことが幻想に過ぎないということだ。「包括的で水準の高い自由化を目指す」「すべての物品をテーブルに載せる」とUSTRのカトラー代表補が私たちの確認の質問にきりりと答えた事。

その2:【国のかたち・制度を変えるもの】 各所で二言目には「米韓FTAをモデルに」と異口同音に言われたこと。そこには「ISD条項投資家・国家訴訟」など国民生活を脅かすその国の制度や文化にまで介入できる仕組みが明記されている。これが問題! 医療については、すでに書いたが、国民皆保険制度を変えるなどとは要求してこない。しかし薬の価格を自由に決められる仕組みや、新薬を保険でなく使えるようにする仕組み(自由診療),混合診療、インターネットの薬販売など、結果的に医療費のコストを上げたり、皆保険を崩す一穴になるようなことは仕組まれている。発展途上国であれば、なお国民の医療・医薬品へのアクセスが阻害されるとNGOなどでは危惧していた。

その3:【業界によって異なるスタンス】 労働界は反対している。連合に聞かせたいと思った!これはNAFTAでアメリカ国内の雇用が激減。200万人とも100万人とも言われる失業者を生んだことがトラウマでTPPにも反対。自動車工業界も反対。それは日本人がアメリカ車を買わないから。農業団体は日本を顧客と捉え輸出強化をしたいので賛成。

その4:【議会議員のスタンス】 日本にいては分からなかった上院下院の議員たちがどう思っているのか?これも二分している。自由貿易に懐疑的な議員や推進派も。昨年の3つのFTAのすべて反対した議員、米韓は賛成したが他二つは反対した議員、全部賛成派の議員。いずれも選挙州の有権者の産業構造によって異なる。少なくともオバマにとっては選挙が終わるまでそっと静かに深く潜行して進めたいというのがこのTPPらしい。つまり貿易条約のように意見の分かれるアジェンダは争点にはしたくないと。

その5:【アメリカ国内の認知度はとても低い】 USTRのマランテイス次席代表が言っていたことだが、トウキョウでは本屋にもTPP関連書物が積み重なっており、新聞テレビでの報道も加熱しており、びっくりしたと。そうだと思います。少なくともアメリカ国内では一般に報じられることもなく、国民にとっては「TPP ? What?」といった様子であった。私たちが訪問先で日本の国会議員の半数が反対・慎重派だというと一様に皆驚いていた。そして空気が変わっていき、これは困ったなという雰囲気。そして、最後には、「もしTPPに入らないことになっても日本は友人、最高のお客様なんだから今後もよろしくね!」という言葉が業界団体の会長さんたちからにこやかに発せられていたようなこと。

その6:【日本にはタフネゴシエーターがいるのか?】 米国の政府機関と民間業界団体の人事交流は普通に行われている。たとえば全米製造工業会の会長は長年、元政府貿易機関のネゴシエーターだった人。30年来日米交渉にあたってきた。またバイテクの新進気鋭の副会長も先ほどまでUSTRにいた方。等々。さてさてわが政府には?

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