日本はTPPに参加してどのような国益があるのか?今日閉会のシンガポールTPP交渉会合の「緊急報告会」国会で。

2013年03月13日 18:35

今日、3月13日、国会内でTPPを慎重に考える会と国民会議の主催で、「緊急報告会」を開催。3月4日からシンガポールで行われている11か国によるTPP交渉会合に、NGOの立場で参加したアジア太平洋情報センターの内田聖子さんから報告を受けました。TPPを考える国民会議のメンバーである農業団体はじめ各団体の皆様、国会議員などが参集。会合の最終日を待たずに帰国、今朝、成田空港に着いてそのまま議員会館に足を向けてくれた内田さんのまさにホットな報告を受けましたが、「今、政府が言っていることは正しいのか?TPPの本質とは。我が国が参加して本当に国益があるのか?日本の国が良くなるのか?」等々、ますます、疑問が深まる内容でした。

私もアメリカ・ワシントンやソウルに議員外交及び調査で出向いたことも含め、TPPに関してこれまで収集してきた情報や、アメリカやニュージーランド、韓国などから関係者を招いて開催した国際シンポ等で、TPP参加は国益にならないと感じてきた事柄が、さらに現実のものとして裏付けられたと、実感した次第です。

15日には、安倍総理が参加表明と報じられていますが、このまま進むことに大きな危機感を持ったことでした。

今回のシンガポール会合には参加11か国の交渉担当官、ステークホルダー(企業、業界団体等,NGOなど)約600名が参加した会議で、3月4日から今日13日まで開催されている。会議の内容は「極秘」「秘密裡」なので、リークされない限り、日本においても(政府担当者でも)テキスト等の情報入手はできない、という性格の会議でもある。

以下は、内田さんの報告である。

*「企業優先のTPP交渉の実態」が良く分かった会議でもあったという。ステークホルダー会議のブースや企業のプレゼンにそれが良く表れていた。また「日本の参加問題」が議題になった様子はないというが、当然関係者からは発言もあったという。企業のブースは約70社、プレゼンは約40社。リストを見ると、米国商工会議所をはじめ、企業連合など推進団体や企業が参加している。

*さて、TPPは包括的で高度な経済連携協定だが、単に農業だけでなく、20を超す分野にわたる協定でもある。今回は「知財」「環境」「法的・制度的課題」の分野で7日間が費やされ、「金融サービス」「投資」「労働」「市場アクセス」で5-6日間議論された。

*【知財=知的財産権】の分野も焦点であり、「企業vsNGO]「米国vs他国」の構図がくっきりと表れたという。たとえば、「デイズニー」や「医薬品」も話題になったが、特に医薬品では米国から知財の強化がでている。たとえばエイズの治療薬は現在ジェネリックが開発され途上国で使われているが、ジェネリックのパテントが延長されれば、高い米国産のジェネリックを買わなくてはならなくなり、容易に得られなくなる。これにはマレーシアの厚生大臣が昨年、「そんなことはさせない」と意義を唱えている。

*【企業優先のTPP交渉の実態】

・ステークホルダー会議には企業とNGOが参加。企業にとっては「商談の場」、NGOにとってはロビーイングの場。企業の売り込み文句は「ベトナムにはこういう商品を!貴国の経済の夢の発展を!ぜひ投資を!」「アジア太平洋地域の繊維は今後こうなる」などなど。

・在シンガポール米国商工会議所主催のレセプションが最も派手に開催された。議長国でも主催国でもないのに。

・特に米国の製薬工業会PhRMAは「知財のさらなる強い保護を求める要望書」を提出した。その連名の企業にはファイザー、JJ,グラクソスミスクライン、ブリストルマイヤーなどに交じってエーザイ、第一三共などもある。

・米国の国会議員でも交渉は極秘なので、テキストは見られないが、こうした製薬会社はテキストが入手し見られるようだとも。

・【日本の参加問題】は、NGOにとっても重要だが、議論されてはいない。会見でNGOから質問で「日本の参加を各国は受け入れるか?米国は日本に何を要求しているのか?」と質問したが、担当者からは「特別扱いはしない。」「参加表明をしたいかなる国にも手続きをおこなうだけ」という答えがかえってきた。

・米商工会議所副会長Tani Overby氏は「日本が例外なしの関税撤廃に同意するなら参加を支持する」と。またトヨタ、ホンダ、ニッサンなど名指しで批判。「米国自動車業界にとって不利益をもたらす」と批判。「自動車、牛肉、保険で信頼醸成という成果を見せなければ」とも。「すでに牛肉については成果を達成してくれた(輸入牛の狂牛病検査を20か月から30カ月にしたことを指す)」「米韓FTAを見習うべき」とも発言した。

・米国の貿易担当官は、「カナダ、メキシコが入ったとき同様、厳しい条件が課せられる。事前に交渉テキストを見ることもできない。すでに確定した項目について、いかなる修正や文言の変化も一言一句、認められない。」「7月までに二か国間交渉を完了させるように。」

・つまり、このスケジュールだと、日本は7月の全体の交渉会合には参加できないということになる。9月の交渉会合がラストラウンドになるが、ここの一回のみの参加でルールの議論などにはかかわれないことになる。すでに決まったルールには後から来たものが変更はできないと先ほど指摘した。その状況で10月のAPECでサインをするのか?

・また日本がTPP参加の「聖域」主張については、各国はから懸念がでた。各国は「これまで交渉会合で積み重ねた合意を厳守するように」と。

・交渉が秘密裏で行われ、テキストも入手できないとなると(それがTPP交渉のルールだが),我が国は、900ページものルールに一言も言えずに、ルールを変えることもできずに、アグリーするのか?

 

さて、これまでの報告をきいたあとの討論で、「ここまでを聞いて、これでは大変なことだ。TPPは単に国益を損ねることなどではなく、主権の放棄にもつながるのではないか。断固反対しよう」と、意見を述べた国会議員の発言が重く響いた報告会となりました。昨日はJA全中が4000人もの大きな反対集会を開きましたが、政府は関係団体とも「条件闘争」に入っているようにも見受けられる。

国民の皆様にこうしたビビッドな、TPPの本質を突く情報が、メデイアによってしっかり発信されることも重要だ。本日のシンガポール会議からの速報は本当に貴重であった。

 

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