イギリス・デンマーク高齢者ケア視察レポートその3:介護者支援のケアラーセンター

2014年10月28日 12:24

ロンドン・サットン区のケアラーセンターサットン区ケアラーセンター・CEOレーチェルさん、市議のマリリンさん、アルツハイマー協会のズイママーンさん衆議院の現職時代、私が手掛けていた仕事の一つに「介護者支援法案(仮称)」の制定があります。この課題に取り組んでいる皆様とともに勉強会やアクションを一緒に考えてき、法案の骨子も出来上がっています。日本では、まだまだ家族介護者に依存した介護保険であり、地域の福祉サービスです。介護保険は一定の成果が上がっていますが、介護する家族の事を視野に入れた支援法ではないので、あくまでも要介護者本人の要介護度でサービスが提供される仕組みです。

在宅では、老老介護や認認介護といわれるような家族介護の現状があり、また介護離職が10万人時代と言われ、ワークライフバランス面でも家庭内介護者の負担は大きく、当然ながら、介護保険だけでは支えきれなくなってきています。また、認知症が増えてきた現在、「介護者支援法案」の必要性が高まってきているのです。

イギリスではすでに1992年にプリンセス・アン財団によるケアラーセンターと連盟がスタートしており、1995年に「ケアラー法 Carers Act」が制定されています。その歴史の中、現在145のケアラーセンターが全国で活動している。ケアラー法は何度か改正され、2015年施行となる今回の法改正ではさらに、「介護者が支援を受けることが【権利】となり、自治体はケアラーへの適切な情報や支援を届けることが【義務】」となりました。

その先進国のケアラー支援の現状を是非視察したいというのも今回の視察目的の一つでした。

ロンドンの北東部Sutton行政区にある「サットン区ケアラーセンター」を訪問。活発に活動し、政府や議会へのロビー活動などアクテイブなこのセンターのCEOのレーチェルさん、アルツハイマー協会のニコルさん、サットン区区議でセンター理事のマリリンさん(写真右から)が同席して説明をしてくれました。レーチェルさん自身、夫の両親(舅・姑)を介護したが、心理士だったので、フルタイムの仕事と介護の”サンドイッチケア=板挟み”を経験して、このケアラーセンターの業務についたという。

サットン区は人口19万人(高齢化率14%)だが、ケアを受けている人は約18000人、うち3000人が若年介護者、介護を週50時間以上している人は3500人以上。認知症は約2250人(半数は診断を受けていない)。ケアラーセンターの業務は、「介護者の心身の健康、病気、経済、社会問題等の支援、情報提供とアドバイス、電話相談。それ以上にアクテイビテイではヨガやレクリエーション、アート、マッサージ、認知行動療法などのプログラム」が提供されている。また法律相談や福祉サービスや様々な手当等の手続き支援も重要な支援だという。また地域絵の働きかけも重要で特にGP(家庭医)たちの研修会で講師をして認識を高めたり、TVに出演して市民を意識啓発を積極的に行っている。

特徴的だったのは「ヤングケアラー ・若年介護者支援」で、このきめ細かさには目から鱗だった! この地域には約3000人の25歳以下、18歳以下、10代の子どもたちといった若い介護者がいるとし、彼らの支援に力を注いでいる。学校の宿題を見てあげたり、一緒に勉強をしたりと学業支援や、メンタルケア、自傷行為にある子どものケア、就労支援など援助しているという。

さて、今回のケアラー法の改正では、強力なロビー活動を行い、保健大臣がここを視察したりした。改正では、先述の介護者支援の自治体の責務やケアを受ける権利に加えて、「子どもたちにも新しい権利=つまり適切でない介護を担うことがないように」と、盛り込まれたという。

しかし、法改正で予算の拡大も見込まれるが、一方で予算組み換えでカットも出てくるので、慎重に受け止めたいと警句も発していた。どこでも苦しいNHS予算への不安が訴えられたこともまた事実であった。NHSのCCGが一括して持っているその地区の予算をどのようにぶんどるのか?いずこも同じ予算合戦ではある。

わが国でもケアラー支援の確立に加えて、若年介護者の問題は取り組み課題であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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