イギリス・デンマーク高齢者ケア視察レポートその4;デンマークの高齢者ケアのパラダイムシフト

2014年10月28日 15:10

コペン市内の新設した高齢者住宅フェレルゴーン中庭から建物 全体.jpgその2コペン市内のスールンド高齢者住宅9月末から10月にかけてデンマーク・コペンハーゲン市と近郊のドラワー市で高齢者ケアの視察をした。私は1980年代から長年、デンマークの医療福祉を定点観測しているが、いつ行っても、ポリシーは曲げずに改革を怠らない(?)デンマークからは学ぶことも多い。特に2007年の行政改革以降の高齢者ケア現場の大きな変化は我が国の未来予測的でもあるようだ。医療は県、福祉や介護は市町村と分担しているデンマークだが、予算の厳し中で県と市町村、医療と介護のキャッチボールもあるようだ。高齢化率が上がる一方で国家経済は横ばい、社会保障費は膨張する。そのギャップをどう埋めるかが、デンマークでも大きな政治の課題である。高齢者人口増に伴って福祉予ドラワー市 高齢者住宅のサロン算を自然増することに異論もあり、改革は官と民の役割分担・行政と市民の連携協働に向かっている。

病院の早期退院は重度で医療ニーズのある利用者を在宅や施設に増加させる。膨らむ高齢者予算を圧縮しつつも、ケアの質や生活のクオリテイ・尊厳をいかに確保するか?デンマークでも大いなる

アクテイビテイセンターでのエクササイズフェレルゴーデン 認知症ユニットのリビングチャレンジが続いている。最近の高齢者ケアのパラダイムシフトは次のような点だが、これもまた大いに示唆的であった。

①ケアの視点を「予防」に転換。これは子供から大人・高齢者まで全国民に健康保持の意識改革をしている。地域の「保健予防センター」を強化推進し

ドラワー市・ビタゴーンの手芸室で. 2て、介護予防プログラムやアクテイビテイを活用を進める。ドラワー市で訪問したアクテイビテイセンターは65種類ものプログラムを70人のボランテイアが運営していた。また利用者委員会が主体的に予算も獲得しながら運営する姿はまさに住民参加型! また高齢者住宅には必ず歯科診療室があり、口から食べる口腔ケアにも力をいれていた。

ビタゴーンのレストランで利用者委員会のみなさんたちと②高齢者はできる限り在宅(自宅)で生活を継続する。在宅24時間ケアを看護・介護・リハビリ職がチームでケアを提供する。特にリハビリテーションは重視され、「リハビリ前置」というような、「ヘルパーの介護の前にリハビリで自立を促す」ことが求められている。またホスピスがあまりないデンマークでは、看取りも高齢者住宅や自宅で可能であるよう24時間在宅ケアが頑張っている。在宅での看取りが困難な場合はデイホームやショートステイに入って終末期ケアを受ける。

③介護施設・高齢者住宅などを地域にかたまりとして整備し、「介護拠点センター」に。高齢者住宅に在宅ケア拠点や、リハビリセンター、デイサービス、認知症ユニット、アクテイビテイセンター、デイホーム、ショートステイなどを併設し、いわば地域密着の包括ケアを進める。これは我が国が今進めようとしている医療介護も連携した地域包括ケアシステムの参考になる。

④福祉テクノロジー・ITの有効活用。高齢者住宅には必ず各種のリフトや移動のための道具が活用されている。また日本製のウオッシュレットトイレが導入されていたのには驚く(国内の特養ではまだ見たことがないが、排せつのケアには有効と).認知症ケアの日本製(筑波大の開発した)の介護ロボット・アザラシのパロもどこの施設でも人気ものだった(これもなぜか日本では使われていない)。驚いたのは高齢者住宅と病院との医療が遠隔医療・テレメデシンでつながっていたこと。コペンハーゲンの大病院と近郊のドラワー市の施設で遠隔医療が活用されていた。従来からの創傷のケアや、最近は骨折で手術して12時間後に施設に退院してくる高齢者もいて、ますます急性期後の看護介護が求められていると!介護職だけでは難しいので厳しい予算の中でも看護師の増員を図っていると各地の施設で聞かされた。「これは看護界にとってもチャレンジだ!」とは、現場の施設長さんの弁である。

⑤高齢者住宅等の整備は民活促進に。営利・非営利の住宅供給会社が住宅を建て、市行政がケアを提供するといった仕組み。入居者は住宅会社に家賃を払い、ケアは従来通り市の職員であるスタッフから受ける。ケアの部分は自己負担はない。80年代・90年代の古い施設をリニューアルする時期に来ていて、新しいものは部屋も広く一人の基準が1LDK+キッチンバストイレ付で30-40㎡から広いものでは60ー70㎡とされている。日本のサービス付き高齢者住宅が18㎡が基準で風呂トイレ共有もあると考えると、住まいのクオリテイの高さはかなわない。また自宅にいる時の生活の継続と、個人の尊厳を重んじる国民性から、自分の家具や思い出の品々を持って入居する。

⑥予算が厳しい中でもケアスタッフが満足でき、健康管理できる労働環境の整備は第一義的に重んじられ、モチベーションを上げることで離職防止に努めていた。

⑦新築や改築の高齢者住宅は太陽光発電や断熱材などでCO2ニュートラルを目標に、環境にやさしい建材や屋上に芝生を敷き詰めたり、居室にはバルコニーを設け、採光や空気の流通を良くするなど建築上の工夫やデザインの美しさも見事。また給食の食材を2020年までに90%エコ食品にするなどのターゲットが明確にされていて、「ウチは現在で70%までいっている。毎朝、厨房でパンも焼く。」などと自慢する施設もあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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