イギリス・デンマーク高齢者ケア視察レポートその6;デンマークの認知症ケア最前線

2014年11月11日 10:32

フェレルゴーン認知症センターのスヌーズレン療法室フェレルゴーデン スヌーズレ部屋フェレルゴーン認知症センターのスヌーズレン療法室.jpg2フェレルゴーン認知症センターのスヌーズレン療法室.jpg4フェレルゴーデン認知症のデイケアフェレルゴーデン リハ室の壁スールンド高齢者住宅プライエボーリ 入居者お部屋 長寿化と高齢化の進行によって認知症の人が増加しているが、その予防と早期の診断・治療、ケアや生活支援、家族支援はグローバルな国家戦略となっています。2007年にフランスのサルコジ大統領(当時)がいち早く国家戦略を打ち立て、2009年にはイギリスのキャメロン首相がストラテジーを進めている。

日本は民主党政権下の2011年に初の厚労省内横断のプロジェクトで「オレンジプラン5か年計画」を打ち立て、予算化して現在進行中です。

EUも加盟国中16か国で戦略が動いていますが、デンマークのチャレンジもなかなか見ものでした。

認知症と言えば、グループホームや認知症専用ユニットでのケアとなるが、普通の高齢者住宅でも認知症のレベルの差はあれ、多くの高齢者がその問題を抱えている。

デンマーク政府はケアの質・標準化として「ケアのプロセス・プログラム」をスタンダードに基づいて作成するよう、自治体や病院、GP(かかりつけ医),施設に義務付けしている。

視察先のどこでも異口同音に「パーソン・センター・ド・ケア」と、その人本位・利用者主体のケアの理念を言われ。この理念(哲学)が浸透していることが分かる。つまり「本人がノーと言えば自己決定権を優先して」「私が今日は何をしたいのか」を表現させるケアを徹底している。

「たとえばお茶にするかコーヒーにする?といった場面でも、20秒待てば、本人が選択できる」という。実はその20秒を待つのが日本人は苦手!即こちらがかってに判断してしまう傾向にある。なるほど!

また重要なのは、抗精神薬の投与や身体拘束はしないということ。人権意識の徹底しているお国柄、「尊厳」と「民主主義」という言葉が飛び交ったのも印象的だった。

「福祉テクノロジー」の利用も進んでいるので、補助器具等もわが国では見かけないものも多く利用されている。日本製の介護ロボット・パロ(あざらし)はどこでも人気だった。イギリスでは「アドミラルナース」が認知症専門看護師として活躍中だが、デンマークでも認知症コーデイネーターや認知症スペシャルコンサルタントなど専門看護師の採用が進んでおり、これはわが国も急がれると実感させられたことでした。

コペンハーゲン市内に2013年1月オープンの高齢者住宅「フェレルゴーン」は入居者193人のモダンな最新建築だが5つのエリアを1950代スタイルやモダンな現代家具のエリアなど、デザイナーを入れて異なる空間をしつらえ、認知症があってもメモリーを触発する様々な工夫が素晴らしかった。

ここのワンフロアが「認知症センター」になっていて、ここには認知症の最新ケアの粋を集めたようなユニットで30人が入居。在宅の認知症の人のためのデイケアやリハビリ、家族支援のための静かなカウンセリングルームも用意されている。

この「認知症センター」にしつらえた[SNOEZEL ROOM]を紹介したい。「スヌーズレン」とはSmellとSleepを意味するオランダ語の造語で、オランダ発の「感覚をインテグレートする療法」の部屋である。

認知症の人は、いろいろな刺激を許容できないので、たとえば身体に触れる着替えの時、嫌がって大声を出して拒否したり、入浴を拒否したりする。それを心地よい安楽で安心の空間が提供されケアされることでBPSDにも効果的だという。また「認知症の人にとって感覚がいかに大事で、どのようにケアするか」と、スタッフ教育にもこの療法は有効だと、約300万円かけて作った。写真の1枚目・2枚目は安楽椅子をカーテンのように取り巻く光ファイバーが色が刻々変わっていくもの。ウオーターベッドにはゴルフボール大の木の玉が入ってかけ布団(これは他の施設でも使われていた)の適度な重さが添い寝のように体を落ち着かせてくれ、スクリーンに映された映像と音楽に連動した緩い振動がここちよく眠りに誘う。また写真3枚目は色の変わるバブルの振動がここちよく伝わる円柱や、体をすっぽり包む大きなハンモック。部屋のライトを消すとミラーボールの明かりが感覚を刺激する幻想的な癒しの空間を作っている(写真4枚目)。認知症コンサルタントのアンネさんは「新しいケア方法論でのスキルアップや機器の導入で現場を変えている。専門看護師の役割がここにありますね」と認知症ケアへの挑戦を語ってくれた。

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