ドイツにみる「在宅で終末期緩和ケアを受ける権利」の法制度化と在宅(訪問)緩和ケアステーションの実際

2015年02月18日 10:49

全国大会シンポ川村先生と2月14,15日と全国在宅療養支援診療所連絡会の全国大会が東京で開催。全国から訪問診療等に携わる医師や看護師などが集まり、熱心に在宅医療について意見や実践を交換、これからの我が国の在宅医療を前に進めるに値する熱気にあふれた会でした。南は宮古島、北は北海道と各地からご参加の仲間の皆様にパワーを頂いた貴重な時間となりました。

中でも、特に興味を引いた【ドイツの在宅緩和ケアチームの働き】について、ご紹介しようと思います。シンポジウム「世界の在宅医療-イギリス・オランダ・ドイツの事情」で登壇したドイツ・ノルトラインのケルン市で「在宅緩和ケアチームSAPV」を率いるトーマス・ジョイスト医師の口演と、私が調べた限りでの情報からその一端を。

ドイツは1997年に緩和ケア(Pallative Medicine)を医療保険の支払いに制度化し、1999年「誰もが緩和ケアを受ける権利」を決めている。また2001年には、在宅サービスとしての終末期ケアとして「在宅ホスピス」を制度化している。

2002年には「地域で緩和ケアを受ける権利の保障」を法的に確立し、2007年医療改革の中で、社会法典5章(決定医療保険)37b条に「専門的在宅緩和ケアへの請求権」とした。

また介護保険では社会法典11章(決定介護保険)で在宅が入所サービスに優先すると条文に明記されている。

現在、在宅ホスピスと在宅緩和ケアステーション(SAPV)は1996年に451か所だったのが2008年には1500か所と3倍近く整備されてきた。

ちなみにドイツでは、社会保険方式の先輩国で、医療も介護もわが国同様、社会保険方式だが、職域別の保険制度で未加入の国民もいたことから、2005年の総選挙の争点の一つであった「全国民加入の医療保険の是非」を受けて、2007年の医療改革で【全国民加入の医療保険制度】を確立、全国で保険料も統一して、2009年からスタートしている。

さて、ドイツでも国民は「住み慣れた家で死にたい」と願っている人が大方だという。Dr トーマス氏のSAPVは、ケルン市のライン川右岸の人口50万人の地区をカバーしているが、【医師10人(GP/家庭医5人、病院医師2人、専門医3人)、看護・介護10人、コーデイネーター】の多職種チーム。訪問緩和ケアの対象は自宅で終末期を迎える在宅患者と老人ホーム入居者で終末期の人、利用料は無料。2012年から2014年の2年間で1592人の患者さんを看取ったという。特徴は905人が家族と同居で、わが国同様、家族がいないと終末期ケアが難しいとのこと。30%がリビングウイルを、32%が医療全権委任書を書いていた人だという。リビングウイルは法的拘束力があるので、患者の意思を医療者はかなえなければならない。このチームの支援は,平均33日(中間値13日)、かかわった人の最後の場は自宅が63%,ホスピスが16%,老人ホームが14%となっている。

今後の課題として述べられたのは、①財政問題、②構造的課題(まだこのSAPVチームのない地域もある),③医学的課題(がん治療がどんどん進化して治療が成功したりサバイバルしていくので死と向き合うことのむずかしさなど), ④人道上の課題(安楽死への対応等)などであった。

さて、Dr トーマスの話を聞きながら、「専門的緩和ケアを在宅で受けながら終末期を迎えられる幸福」を確保するのは私たちの国でも必要だと。わが国もこれから超高齢社会の大きな課題として「多死時代の看取りの課題」があり、どこで、どのように、誰に看取られるのか?国民的課題でもある。介護保険でも在宅・施設での看取りの場を確保しようと制度改正し、訪問診療・訪問看護にも期待がかけられているが、24時間365日の在宅サービスを確立している地域はそう多くはない。訪問看護・訪問診療医・訪問介護等々、在宅チーム医療の確立も急がれる。

ドイツの法制度化や実践も一つのアイデイアではあるなあと実感した次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

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