イギリスの介護者支援法(ケアラー法)と介護者支援について講演しました。

2015年06月12日 11:21

ケアラー法 講演1ケアラー法講演26月10日、高齢社会を良くする女性の会の例会で「イギリスの介護者支援法(ケアラー法)にみる介護者の権利保証と支援」と題して講演、熱気こもる勉強会でした。

イギリスはケアラー(家族介護者)に対する支援策は1995年の【ケアラー法(carers Act)】制定以後、進められていますが、2014年改正されたケアラー法は新たな権利をケアラーに付与してこの5月から動いております。

その”ケアラーの権利”などの話を、主宰の樋口恵子理事長さんにすると,ぜひ例会で話して!ということでこの日の講演と相成りました。

私は議員時代に、この「ケアラー法」制定が必要と勉強したり活動してきました。わが国は2000年創設の介護保険で要介護者のケアシステムは大きく変化し、いろいろあってもあの時期に介護保険を作っておいてよかったと、産みの親の1人としても思っていますが、介護者支援については全くといっていいほど施策が機能しておらず、まだ介護離職10万人といわれたり、介護者による虐待や殺人、心中など、日々困難を抱えている家族たちが存在しています。加えて認知症の増加で、ますますこの介護保険ではカバーできていない「ケアラー支援法」が必要ではないかと取り組んできたことでした。

また実際に昨年ロンドンで訪問視察した際、このケアラー法についてのヒヤリングもしましたが、ケアラーズセンターの皆様も、自分たちも大いにロビー活動や審議会等で強力にアクションを行ったと、法改正はウエルカムの評価でしたので、この日の講演では、昨年視察したイギリスの「ケアラーズセンター」や認知症の家族支援の「アドミラルナース」など、家族ケアラーを支援する他のサービスも紹介しながら、お話したい次第。

高齢社会を良くする会のメンバーの皆様は、皆様、一家言のある運動家?の方たちで意識レベルが高いのですが、その皆様から、政治・文化・社会・医療福祉システムの違いはあっても、日本の状況を考えると、「目からうろこ」、「個人の尊厳をいかに大切にしているか」などの感想を頂き、うれしいことでした。

ポイントはケアラー(家族介護者)が、「ケアラーとしての権利」をこの法律で「法的に確保された」ものです。「アセスメントの請求権とサポート」を法的権利として整備したことです。またこれまで地方自治体は「ケアラー支援の権限Power」はありましたが、それを「責務Duty」としたことです。市町村の措置(日本流に言えば)だったので、ばらつきのあったアセスメントや支援が責務となった事で、ケアラーが発見され、アセスメントされ、サービスにつながるというものです。イギリスではケアラーUKによると650万人のケアラーがおり、それは成人の8人に1人にあたる。またこの「無償介護労働」は1190億ポンド(1£=190円)、2兆2610億円に相当するという。

自治体による「アセスメント」は、ケアラーが一人の人間としての生活のウエルビーイング=個人としての尊厳、身体的精神的心理的ウエルビーイング、仕事や教育、トレーニング、趣味や社会活動をまず重視され、介護ニーズとのバランスを勘案して、在宅ケアや施設ケアのケアプランと支援が提供されます。

また今回改正の特徴は「ヤングケアラー・若年介護者」18歳以下の介護者(8歳や10歳の子どもが介護している状況もあり)、このヤングケアラーへの支援が盛り込まれ、同時に新たな「Children and Families  Act2014」が制定され、ヤングケアラーにもアセスメント権が与えられ、不適切な介護を防止したり、教育や就労、日々の支援、財政支援等が強化されることになった。

我が国ではこのヤングケアラーの問題はようやく一部で着手され始めているが、これから表面に出してしっかり取り組まなければならない課題でもあります。

日本の社会保障費の配分を見ると、高齢者への給付は46,5%ですが、家庭政策には5,7%。イギリスでは高齢者には28,7%,家庭政策には16.9%で、今後はこの家族介護者ケアラーを含めた子育てや家庭支援政策が重要になりますね。

イギリスのケアラー支援政策からは、これからの地域包括ケアを進める我が国へ多くの示唆を得ましたが、介護保険を補完しながら、地域で支える仕組み=Aging in Place のためにも、この介護者支援は重要になります。

この介護者支援、特にヤングケアラーや障害児を持つ親介護者への支援(これも皆無)など、やりましょうよ!と皆様からも力強い声を頂いたことでした。

 

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