介護保険の8月改定は利用者の自己負担増!給付抑制進むこれからの介護保険。

2015年07月28日 11:33

フェレルゴーデン認知症のデイケア7月の大暑も過ぎ、連日猛暑の各地です。熱中症のニュースも年々多くなっている気がしますが、皆様もご注意ください。

国会では最大の延長国会で、安保法制が衆議院を通過、参議院で審議が始まりましたが、なんとしても廃案にしたい憲法違反の法案ですね。

さてこの猛暑のようなもう一つの暑苦しいニュースは、介護保険の負担増です。介護保険は、今年4月の介護報酬改定が-2,27%と引下げ改定でした。介護事業者のみなさんからは、厳しい改定で、通所デイケアを閉鎖したとか、軽い人はお断りして認知症や重度な方にしたとか、訪問介護では身体介護に重点化とか、人材確保も厳しい中で、サービス提供の変化と経営的にも厳しい状況が伝えられています。

一方、サービスを受ける要介護者と家族からは、要支援の人のサービス打ち切りの不安や、特別養護老人ホームの入所が重い人(=要介護3,4,5)だけになると、申し込みをしているが入れなくなり在宅では無理との声もあり、介護保険のこれからへの不安と不満も聞かれます。

さらにこの4月から介護保険料は上がり、65歳以上の方は、全国平均で月額5514円になり542円増え、年間では約6500円のアップ!年金生活者には負担増となっています。しかし、 この8月からの自己負担の引き上げはそれを大幅に上回る水準となっています。

介護保険料と自己負担のダブルの負担増!8月から何が、どう変わるのか、ポイントを解説していきましょう。

①一定以上の所得者の利用者負担が【1割から2割に引き上げ】。単身で年金収入のみの場合で年収280万円の人は2割負担に。夫婦など二人以上の世帯で346万円未満の場合は1割負担。(認定を受けている人にはすでに市町村から「負担割合証」が届いているはずです。)これは介護保険が始まってから初めてのことです。在宅サービス利用者で15%の人、施設利用者で5%が対象と厚生労働省は推計。

②高額介護サービス費の基準の引き上げ。自己負担の上限額が月3万7200円から4万4400円になります。「現役なみの所得」のある人が該当。

③特養ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設など施設利用者の補助対象者の見直し=補足給付の支給要件を見直し。預貯金等が一定額(単身で1000万円、夫婦で2000万円の預貯金)などの資産があれば、介護施設入所時の室料負担が生じることになります。また特養入所時に”世帯分離”していても、配偶者が市区町村民税が課税なら補助は受けられなくなり、対象外となります。窓口では預貯金通帳の写しなどを持って申告しなければなりません。預貯金等とは、預貯金(普通・定期),有価証券(株式・国債・地方債・社債など),金・銀・など貴金属、投資信託、タンス預金。(タンス預金まで探すのでしょうか?)市町村は必要に応じて銀行等に照会がかけられます。また不正に補足給付を受けたケースのペナルテイもあり、市町村はそれまでに支給した金額の返還に加えて、最大で2倍の加算金を課すことも可能とされました。

④特養の相部屋(多床室)に入所する課税世帯の人は、室料相当を新たに負担することになります。具体的な額は入所先の施設との契約事項となります。

ケアマネジャーからは、サービスの利用抑制が心配との声も聞こえていますが、負担増には利用回数を減らしたり、家族で面倒を見るからいいという声もあるようです。

さて、今回の負担増はずっしり感がありますが、 「これが始まり?」と思えるほどの財政抑制議論の中にある介護保険です。これからどんな方向に向かっていくのでしょうか?

2011年から民主党政権、最後の時まで、熱い議論をしたのは「税と社会保障の一体改革」でした。2025年の超高齢化と少子化の中で、社会保障の財源をどのように確保するのか、税か保険料か、消費税か。結果は消費税で財源確保、子ども子育て支援を含む年金・医療・介護の社会保障に充てると定義づけして法案提出。この税と社会保障の一体改革は与野党三党合意で進めた唯一の成果物であったと記憶するが、それも時間が経てば、消費税アップ分の5%しか社会保障充実に使っていないのが現政権。それすら反古にしそうなのである。

しかも、この6月にだされた財務省の【財政制度審議会の建議】は、財政健全化計画の中で、「社会保障の伸びを高齢化による伸び」の範囲内に抑え、医療介護の改革メニューでは①公的給付範囲の見直し、②サービス単価の抑制、③負担能力に応じた公平な負担等、の制度改革を提言している。またぞろバックラッシュ、やはり現政権では抑制ありきか!と言う内容ばかり。

中でも介護保険関係を見ると、軽度者(要支援・要介護1・2)へのサービス給付の見直しでは、【軽度者の生活支援や、福祉用具や住宅改修も原則自費】にと提言している。通所やその他のサービスも地域支援事業でと。今回は要支援の人が給付から外れたが、今後は【要介護1,2も給付から外す】とよみとれる案。

結果として【介護保険でのサービス給付は在宅も施設も要介護3,4,5】の人になってくる。

介護保険を現在使っている人の統計を見てみると、27年1月で認定者数は611万8525人だが、実際にサービスを受給しているのは503万5398人で、要支援は108万5664人、要介護は394万9734人、うち軽度者の要介護1,2は195万5292人(要介護者の49,5%)、要介護3,4,5は合計199万4442人(50,4%)となっているから、将来、要介護1,2w外すとなれば、50%が抑制できるという数字。

これを給付費ベースで見てみる(平成25年度介護保険事業状況報告/年報 平成27年6月5日老健局)と、25年度の給付費は8兆5120億5200万円。居宅介護サービスが4兆3362億円、施設サービスが2兆8142億円、地域密着型サービスが8659億円となっている。居宅介護サービスで、【要支援】の占める割合をみると、4635億9900万円で全体の5.9%、これが29年度までに保険給付から削減されることになる。

また【軽度者を給付から外す】となれば、居宅・施設サービス合わせて給付費全体に占める【 要介護1,2】給付費の割合は、2兆4800億600万円で30,9%となっているから、この給付分が削減できるという計算になる。

つまり、【介護保険を要介護3,4,5の人への重度な人へのサービス給付の制度】とすれば、現在の要介護者認定者の半数の人への給付となり、3割の給付費が削減でき、伸びもセイブできるということになる。

しかし、介護保険の理念に即して言えば、この数字、すんなり受け止めるわけにはいかない。家族による介護地獄からの解放、介護の社会化を求めて制度創設した介護保険。今以上に介護離職で人材と経済を停滞させ、介護難民や介護殺人・介護心中などを起こすわけにないかない。

「政策の窓」を開け、この先の議論をしっかりステークホルダーと国民がリードしなければ時代に逆行することは間違いない?

(写真はコペンハーゲンの認知症デイケアで,通っている認知症の高齢者と)

ログイン