「第4回山崎まやの医療介護スクール」開催、2016年診療報酬改定と医療介護の方向性をテーマに。

2016年02月23日 10:23

2月18日ビラ2月18日22月18日集合写真2016年2月18日山崎摩耶スクール 2016,2、18その32月18日、「第4回山崎摩耶の医療介護スクール」を開催しました。今回は2月10日に診療報酬が改定された直後の講演会とあって、100人を超す参加があり、講演終了後の懇親会が急遽2会場になってしまいました。皆様ご出席ありがとうございました!

まず、国際医療福祉大の武藤正樹教授からは【2025年へのカウントダウン―地域包括ケアシステムと診療報酬改定】と題して、診療報酬改定の基本的視点をはじめ、7対1の厳格化による病院機能再編や地域医療構想等、また質の高い在宅医療についての講演を頂きました。いつもながら短時間できっちりとポイントをおまとめになる講演!

続いて私からは、今回の改定のポイントと方向性を解説した次第。

まず、いま進められている医療や介護の改革は、[すべては人口減少と超高齢化]への対応であり、病院や診療所、介護事業者が自分のテリトリーの”地域を良く知ることも戦略としては重要”であること。超高齢化は80歳以上の増加に注目を。また老夫婦世帯や独居世帯も3割以上に増加する。「人口減」ではベッド数が減り、医療需要は10%程度の伸びだが、介護需要は48,5%もの増加という数字もあること。

今回の改定は①地域包括ケアシステムに病院が本格的に関与する仕組み、②医療機能を分化・強化そして連携が充実、の方向性が明確にされた改定となっている。

[入院から在宅へググッと接近した医療と介護のすがた]

今回の改定は「川上から川下へ」というよりは、かってなく「ググッと接近した医療と介護」の姿を見ることもできる。一方で、重度者には手厚く、軽度者には給付が厳しい姿は介護保険の軽度者外しと連動している。

長い急性期入院が寝たきり老人をつくっているという指摘もあり、早期退院は高齢者にもメリットは多いが、そのために地域のリハと訪問看護を集中的に提供、在宅にソフトランデイングする仕組みが今回改定でも見える。また在宅医療、在宅歯科、訪問看護、薬局など受け皿整備に新しい点数もついた。また、がんの在宅療養、小児、精神、認知症などにも在宅への流れが見える改定でもある。

医療介護経営のお財布としては診療報酬に加えて、「地域医療介護総合確保基金」が都道府県にあり、これを使って基盤整備や人材確保に活用が期待されていることにも言及。

[マイナス改定でもプラスの追い風はどこに?]

全体でマイナス0,84%、本体部分はプラス0,49%、薬価改定がマイナス1、33%と厳しい改定となったが、メリハリの効いた改定で、追い風を受けた領域もあり、「病院から在宅へと強化された」改定ともなっている。

特筆は、病院による在宅支援機能が強化されたことで、退院時の支援強化、退院直後1カ月は病院からの訪問看護(退院後訪問指導料/訪問看護同行加算)が新設、病院から行く訪問看護点数もアップに。フランスのHAD(在宅入院)のように病院からの高度医療訪問看護がもっと強化されてもいい。(これも30日程度で一般の訪問看護につなぐ。)

また機能強化訪問看護ステーションも一定の要件緩和で看取り件数と重度な小児のケアが期待されたが,開設が全国でまだ300か所なので、開設促進策が別途必要か?

在宅医療や在宅歯科専門の在宅療養支援診療所、在宅歯科診療所が明確に評価された。しかし一方で、点数はある意味厳格化され、これは今後に議論を残している。サービス付高齢者住宅や特定施設などへの訪問診療が重症度・居住場所で点数化され、いま、頑張っている訪問診療のドクターからは30%から35%の減算になると頭を抱えている、という話も伺った。

[医薬分業とかかりつけ薬剤師・在宅歯科診療の推進なども]

門前薬局には厳しい改定となったが、多剤服用の高齢者への薬剤指導や処方箋を出す医師との連携、在宅での薬の管理等、薬剤師の役割も明確化された。重複投薬や多剤服用など、認知症高齢者へのケアでも重要なポイントなので、この分野の強化と評価は重要。

在宅の歯科領域もその重要性が評価され、院外の歯科医が他院の栄養チームへの参加なども評価されている。

[維持期リハビリは地域で、の方向性]

介護保険への移行を進める改定で、28年4月で廃止の方向だった維持期リハビリテーションは、今回は廃止を見送ったが、減算を拡大し、要介護認定者は平成30年度には介護保険に移行とした。介護保険への移行を促す目標設定等支援管理料を新設、減算もある。一方で廃用性症候群のリハが評価され、寝たきりを作らないでね!のメッセージも。地域包括ケアの中で地域でのリハビリは戦略としても大いに期待される。

デンマークで視察した「地域リハビリセンター」は退院後2週間の入所集中リハと通所リハで地域をカバーしていた。我が国にもこのようなリハセンターが必要になる。

[がん患者の在宅医療、緩和ケアも進む?]

わが国ではまだまだ遅れているがん患者の在宅療養についても、今回は病院がしっかり支援しなさいよ!というメッセージが読み取れる。とくに緩和ケア病棟が在宅のがん患者の緊急入院を受ける仕組みや、外来化学療法や外来緩和ケアに手厚い評価、在宅での緩和ケアにがん専門病院の緩和ケアチームが支援する仕組みなどが提起された。(がん末期で家で死にたい人は63,3%、一方で死亡場所の1位は病院診療所で78,6%、自宅は9,6%にすぎない。)

さて、今回改定は、「医療と介護の方向性が明確に示された」改定となっている。次のダブル改定は30年である。急性期からの早期退院と在宅支援に向けての流れとそれぞれの機関や職種の役割は一定、整理されたが、課題は人材確保である。特に在宅の人材確保が急がれる。真摯に在宅で患者と向き合い、最後の時まで本人と家族に伴走する医師、看護師、介護事業の訪問介護や薬局の薬剤師などがチームで24時間365日、モチベーションを高めて働け、収入も確保できる仕組みにする事が急がれる。

その意味でも平成30年の医療の診療報酬と介護の介護報酬の同時改定まで、現場からは、実績データをどんどん厚生労働省に提出しましょう!利用者のQOLに資するデータを手にしたロビー活動が期待される。

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